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インタビュー詳細

強い日本を作る道路ネットワークを追求

国土交通省 池田豊人新道路局長が就任会見

国土交通省
道路局長
池田 豊人 氏

4年間で80%の点検が完了

 補修を効率的に行うためにも新しい財源が必要

 ――道路の老朽化対策に関する財政・人材面での対応は

 池田 笹子トンネルの天井板落下事故の発生を踏まえて、平成26年度から、一番老朽化が心配される橋梁を中心に対策を進めています。橋梁は全国に70万橋以上あるわけですが、5年間で全ての橋梁について近接点検する予定で、既に4年たっていますが、50万橋を管理する市町村の頑張りもあり、目標通り80%の点検が完了しています。

 点検した中で、できるだけ早く修繕をしないと、今後通行止めになる可能性がある橋梁が10%ほど確認されています。ただ、実際に補修に着手できているものは地方管理道路に限って言うと12%程度に過ぎません。88%は残っているわけです。これらも速やかに補修していかなくてはなりませんが、現在の公共事業予算を考えると、財政的に厳しい状況にあるといえます。そういう意味では、ピーク時の半分である現在の公共事業費を増やすための新しい財源を考えていく時期に来ていると思います。

権限代行による診断補修①呼子大橋(佐賀国道事務所)


権限代行による診断補修②猿飼橋(奈良国道事務所)

 人材面についても、これまでの点検の中心に市町村の役場では人材の不足が懸念されていましたので、そこを国や県が代行していますが、今後ともそうした活動を充実していかなくてはいけないと考えています。


橋梁定期点検要領見直し 新しい技術を取り入れる

 点検方法・対象選別とも弾力的に考えていく 

 ――新技術を視野に入れた点検要領の見直しは

 池田 現在、橋梁全体の8割まで点検が完了していますが、ハイピアの橋や谷間に架かる橋の桁下を近づいて目視で見るというのは、足場も大規模なものを作らなくてはなりません。ロープを用いて近接する技術(特殊高所技術あるいはロープアクセス)もありますが、なかなか難しいものがあります。一方で画像技術や非破壊検査技術は著しく発達しています。そうした技術を使うことで効率的に点検できる技術を取り入れていきたいと考えています。

非破壊検査技術例(上、イメージ)/ロープを用いて近接する技術例(下、イメージ)

 ――SIPで開発している各種点検技術を実装するためにもどのような見直しを図るのか

 池田 4年前に、老朽化対策は今がラストチャンスだ、と。最後の警告というフレーズがありましたが、三木千壽先生や家田仁先生に頂いて、今やらなければ、「荒廃するアメリカ」になりますよ、と示唆していただいたわけです。当時はインフラの点検は遠望目視にとどまっていることが地方管理には多い状況でした。これでは駄目だ、と。やはり近くまで行って目で見て、叩くことをやろう、と一巡目は歯をくいしばってやってきたわけです。しかし2巡目も同じやり方でやろうとは必ずしも考えていません。技術も発達していますし、知恵の見せどころがあるのではないかと思い見直しを考えています。

 例えば近接目視や打音という今までの点検手法に聖域を設けるのではなく、使える技術は取り込んでいくというのが2巡目からの見直しのスタンスであり、技術を精査しているところです。

 ――点検についての前提条件をどのように設定していくのか、現在は全ての橋梁を一律に同じやり方で点検する対象にしているが、今後は点検対象を絞っていくなどの考えはあるのか

 池田 対象の捉え方も分類分けし、一律に点検するような一巡目のやり方は必ずしもやるとは限らないと考えています。

 ――新しいビッグプロジェクトの提起について、以前まで局長を務めていた近畿地方整備局管内では大阪湾岸道路西伸部が久々のプロジェクトとして脚光を集めているが、全国的にはどのように考えているか

 池田 高速道路は、暫定2車線の区間もありますが、約80%の区間が開通しています。その開通に比例して、各地方の土地の利用価値が上がってきていると考えています。3行の空洞化が言われ続けて久しいですが、近年は中国や東南アジアの賃金の上昇や各種リスクを踏まえて、国内に回帰する傾向も見られます。そういうことを考えると物流支援道路もそうですが、大阪湾岸道路西伸部のようなものを含め、子孫のために世界に伍していけるような日本を残すためにも、次々と着実にプロジェクトの実行を図っていかなくてはいけないと思っています。

大阪湾岸道路西伸部のルート 近畿圏では久しぶりのビッグプロジェクトだ

 ――ありがとうございました

(2018年10月4日掲載)