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インタビュー詳細

世界初、日本初に挑戦していく企業風土

三井住友建設 大規模更新・鋼構造物に対応する設計グループを5月に立ち上げ

三井住友建設株式会社
取締役
専務執行役員 土木本部長
益子 博志 氏

 土木分野の年間売上高約1,200億円を誇る三井住友建設。橋梁部門の売上はその約30~35%を占め、国内一のPC橋施工実績を維持し続けている。最近では、2016年度の田中賞を受賞した新名神高速道路の武庫川橋などの建設をはじめ、大規模更新事業にも積極的に取り組んでいる。また、東南アジアを中心とした海外工事も継続的に展開しており、海外売上高の拡大を図っている。同社の技術開発を含めた事業展開を益子博志取締役に聞いた。


関越道永井川橋の現場では約400枚の図面を作成

 東北支店長時代には東日本大震災での緊急復旧を行う

 ――まず、これまでの仕事の中で印象深かったものをお聞かせください

 益子取締役 数十橋の設計を行ってきましたが、とりわけ設計・施工の双方に携わった二つの橋梁が印象に残っています。一橋目は、最初の配属現場で詳細設計を担当した関越自動車道の永井川橋です。永井川橋は、当時日本一の橋脚高さ75.7mを有する橋長約500mの連続桁です。この橋の構造形式は、現在ならば連続ラーメン構造になりますが、当時はこの構造を詳細解析する設計プログラムがなく、端部が一点固定の連続桁構造でした。設計計算を実施し、鋼材配置図・配筋図などの図面を400枚程度作成したことが記憶に残っています。



永井川橋


 また、もう一橋は世界初の波型鋼板ウェブエクストラドーズド橋である長崎自動車道の日見夢大橋で、こちらも設計・施工に携わり、途中から作業所長を引き継ぎました。非常に短工期で、施工合理化のために超大型特殊ワーゲンを採用するなどさまざまな工夫をして、約1年間で上部工のほとんどを仕上げました。これらは、いずれも土木学会田中賞を受賞しています。

 東北支店長として仙台に赴任した翌年の3月11日には東日本大震災が発生しています。東北自動車道から仙台ICにアクセスする跨道橋の支承が損傷し、余震により落橋して東北自動車道が通行止めになり緊急物資輸送ができなくなるということで、翌日緊急復旧の依頼がありました。このため、唯一の通信手段である公衆電話から本社に応援依頼をして、地震の2日後から緊急復旧を実施しています。また、4月7日に発生した最大余震では仙台北部道路において、PC桁の積層ゴム支承の約七割が破断しました。この時も緊急復旧依頼があり、落橋防止のためこれまでの設計経験を生かして自ら図面を描いて緊急復旧を行いました。


2017年度の土木分野売上高は約1,178億円

 リニューアル工事の受注高は200億円弱に増加

 ――ここ3年間の業績と今年度の予測は

 益子 土木分野の売上高は、2015年度約1,231億円、2016年度約1,197億円、2017年度約1,178億円となっています。2017年度は約1,200億円を超える状況でしたが、海外案件が大雨の影響で工事が止まったことや、九州北部豪雨でダム工事の遅延があり、先の数字となりました。今年度の目標も約1,200億円です。

 ――土木分野のセグメント別では

 益子 橋梁部門の売上高に占める割合は約30~35%で、トンネルが約10%です。残りは、年度によって変わりますが、最近は浄水場の更新工事などの上下水道事業やメガソーラー事業などの比率が高くなっています。

 ――大規模更新事業についてはいかがでしょうか

 益子 リニューアル工事(大規模更新・修繕事業)の受注は毎年100億円強でしたが、昨年度は増えて200億円弱となりました。床版取替工事の増加がその要因です。

 ――PC建協では会員の受注総額が3期連続3,000億円を超えましたが、補修・補強分野の受注が増えていくとの見通しを立てています。御社の見通しはいかがでしょうか

 益子 4車線化事業や新名神高速道路の工事があり、ミッシングリンクもかなり残っていますので、新設が極端に減ることはないと思いますが、微減にはなるでしょう。大規模更新事業は増加傾向にあることは間違いなく、今年度の発注額は1,000億円を超すと言われています。新設と大規模更新の合計では、微増になると思います。また、海外は各国のインフラ整備が盛んで、大きく伸びています。かなりのビジネスチャンスがあると考えています。


海外事業の売上増を目指す

 スリランカやバングラデシュと事業エリアを拡大

 ――海外事業の売上高は

 益子 現在は約200億円ですが、300億円に増やしていきたいと考えています。長期的には、現地法人を含めて1,000億円の売上高を目指しています。現在、土木工事の海外比率は2割弱ですが、約3割まで伸ばしたいと考えています。

 ――具体的な事業展望としては

 益子 橋梁部門の売上シェア約30~35%にあわせた人員配置で国内、海外ともに事業を進めていかなければなりません。海外案件は規模が大きくなっても人数が少なくてすみますので、現在の人員配置は変えずに微増傾向で事業を進めていければよいと考えています。海外案件でのPCのシェアは約半分ですが、一般土木のシェアを増やして、全体として微増傾向を狙っていくことになると思います。

 ――海外の事業エリアは

 益子 東南アジアが中心になります。去年はスリランカ、今年はバングラデシュと新しい国で受注をしました。

 ――施工されたおもな橋梁について教えてください

 益子 ベトナム北部の都市・ハイフォン市に架かるディンブー-カットハイ橋(ラックフェン港アクセス道路橋)は2017年に竣工しましたが、2017年度の土木学会田中賞とPC工学会賞を受賞しています。



ディンブー-カットハイ橋(ラックフェン港アクセス道路橋)


 2014年に竣工した同じベトナムのハノイ市のニャッタン橋(日越友好橋)は、IHIインフラシステムとのJVで2014年度の土木学会田中賞を受賞しており、主塔と基礎工を弊社が担当しました。



ニャッタン橋


 また、カンボジアのつばさ橋(2015年竣工)では、2015年度の土木学会田中賞と第1回JAPANコンストラクション国際賞を受賞しました。



つばさ橋


 ――現在、施工中のものでは

 益子 ベトナム南北高速道路のホーチミン郊外で長大斜張橋をベトナムの建設会社とのJVで施工しています。J3工区と呼ばれるもので、隣接するJ2工区(竣工済み)に続き、受注しました。主橋とアプローチ橋を建設するもので、主橋は3径間PC斜張橋で橋長599m、最大支間長300m、主塔高さ140mで、これから張出架設が始まります。竣工は2019年度を予定しています。



J3工区