道路構造物ジャーナルNET

受注総額3000億円は必達

PC建協 藤井新会長インタビュー

一般社団法人
プレストレスト・コンクリート建設業協会
会長

藤井 敏道

公開日:2018.06.12

 PC建設業協会は5日、新宿の同会本部で藤井敏道新会長就任合同インタビューを行った。藤井新会長は、今年度の見通しについて出だしはよく、「受注総額3000億円は必達」と述べた上で、「今後も受注環境はある程度良好に推移するであろう」との見解を示した。抱負としては2017年に定めた『新ビジョン2017』に沿って活動を進めていくと共に、国土交通省など発注機関との意見交換の場においてプレストレスト・コンクリートに関する注目を高めていきたいと話した。担い手確保の課題については、「建設キャリアアップシステムなどを活用することにより技術者・技能者の質を高め、待遇を良くし、それによって魅力ある人材がさらに集まる――といった状況を作り出していきたい」と語った。(井手迫瑞樹)

 ――新会長就任の抱負は
 藤井会長 受注金額3年連続3,000億円を達成し、受注環境の面からすると安定を取り戻している。五輪後においてPC建協がやるべき課題を明確にしていく必要がある。昨年まとめた『新ビジョン2017』に基づいて、PC建協が進み、発注機関とも意見交換を行っていけるように会長としても務めていきたい。受注内容は新設が減少し、大規模更新が増加するなど以前と変わったが堅調だ。加えてプレストレスト・コンクリートに対する注目が以前にもまして高くなっていると感じる。
 ――今後の事業方針は
 藤井 協会の活動を対外的に知らしめ、広がっていく中心はやはり国土交通省をはじめとした発注機関との意見交換会が大きなウェイトを占めている。近年、意見交換の内容は明らかに変わってきている。例えば働き方改革についてもPC建協の要望を伝える場であったのが、ここ数年は逆に発注機関の見解を示されて、 実効力を伴う場に内容が変わってきた。これが国土交通省だけでなく、自治体や民間にも広がっていくことを期待したい。
 ――特に重点的進める取り組みは
 藤井 働き方改革の実行と安全の充実が大きなテーマだろう。
 ――安全についてもう少し具体的に
 藤井 昨年度PC建協会員会社の死亡事故は3件起きた。建設業は事故発生比率が高く、これは即ち担い手不足に直結し、サステナビリティの面からも大きく見劣りすると言わざるを得ない。給与も含めて改善する必要がある。
 ――長時間労働の是正は
 藤井 残念ながら現状は長い。それが定着している。しかし、PCは本来工期を短縮できることを売り物にしている業界だ。前工事のしわ寄せがPC上部工に来るなど不利な面はあるが、プレキャスト化による工期短縮や工場製作によるライフサイクルコストの向上なども認めてもらい、待遇改善につなげていきたい。今後国土交通省で完全週休2日制の試行工事も行われる。その際の課題を抽出し、議論していきたいと考えている。
 ――i-Bridgeへの対応は
 藤井 無人化施工などは一朝一夕にできるものではない。まずは長寿命化を図るための埋め込みセンサーの開発などだろう。協会で共同開発することはない。あくまで個社の対応だ。
 ――担い手確保について、特に技術者・技能者の確保をどのように進めていくか
 藤井 数か質か? という単純化された命題ではないと思う。建設キャリアアップシステムなどを使って技術者・技能者のレベルを上げていく必要がある。そして高い技術・技能を有する人を優先的に使っていくことが大事だ。単価も上がるだろう。
 ――人も取り合いになる
 藤井 しかし、それ(競争)がないと魅力ある業界にはならない。逆にそうした環境を目の当たりにすることで、優秀な人材が目指す業界になれる。また、そうした人材を確保する上で学との連携は不可欠だ。PC工学会と連携を深めることで土木や建築への魅力を増していきたい。
 ――技術者・技能者において多能工は必須か
 藤井 必須だ。例えば大規模更新事業による床版取替えは増えているが、(床版撤去・取替のみの)時期は極めて限定的だ。新設やほかの工種にも対応できる技術者・技能者が必要だ。 
 ――大規模更新事業は大ロット化が進んでいる。ゼネコン有利でファブにはきつい発注形態が増加しそうだが
 藤井 とはいってもIC間発注もあれば、橋単独発注もある。会員各社でも元請志向もあれば下請志向もあり、対応は一様ではない。様々な事業規模に対応できるよう準備していく必要があるし、各社としても(大ロット時において)パートナーや重要な下請に選ばれるよう技術力を磨いていく必要がある。


堅調な大規模更新事業(写真はイメージです)

 ――趣味、座右の銘は
 藤井 ゴルフ、読書。最近は健康を考えて朝に6000歩をめどにした散歩もしている。
 座右の銘は同郷の彫刻家である平櫛田中の「いまやらねばいつできる。わしがやらんで誰がやる」。経営者は逃げられない。適切な時期に正しい判断ができるよう、日々、予行演習している。
 ――ありがとうございました
(2018年6月12日掲載)

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