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インタビュー詳細

新技術の民間公募で点検・維持管理の効率化を目指す

広島県 道路整備計画2016で7つの施策に取り組む

広島県
土木建築局長
三上 幸三 氏

 広島県は人口約283万人(平成30年1月推計)で、面積は全国11位の8,479km2となっている。県土は北部の雪寒地域から南部の温暖な沿岸・島嶼部まで広がり、「日本の縮図」とも言われている。構造物においても全国で課題になっているほとんどのことがあてはまる広島県の道路整備方針と維持管理の取り組みを同県土木建築局長の三上幸三氏に聞いた。


社会資本を未来につなぐために適正なマネジメントが必要

 定期点検を効率的に実施することが課題に

 ――広島県の特徴をお教えください

 三上局長 広島県は中国地方5県のうちのひとつで、北部には中国山地があり、南部は瀬戸内海に面しています。また、北部は雪寒地域であり、南部は温暖な気候であるとともに塩の影響を受けており、本県が「日本の縮図」であると言う人もいます。春夏秋冬で景色が変わりますし、山間部から沿岸部に行くまでに景色も変わります。

 そのため、社会資本の整備においても雪国仕様のもの、島嶼部仕様のものがあります。構造物で言えば、山岳トンネルがある一方で塩の影響を多分に受ける渡海橋があります。構造物の維持管理において全国で課題になっていることのほとんどが、本県であてはまると思います。



地形概要図(広島県提供/以下同)


 ――道路の整備方針は

 三上 社会資本を未来にどのようにつないでいくかがさらに重要になると考えています。本県では県政全般の総合計画「ひろしま未来チャレンジビジョン」を策定していて、その目指す将来像を社会資本分野で実現するための基本計画として「社会資本未来プラン」があります。そのなかの道路分野の整備計画として道路整備計画を策定しています。

 平成28年3月に策定した「広島県道路整備計画2016」では、7つの施策に取り組んでいます。具体的には、①広域的な交流・連携基盤の強化 ②集客・交流機能の強化 ③災害に強い道路ネットワークの構築 ④総合的な交通安全対策の推進 ⑤持続可能なまちづくりに資する道路整備 ⑥道路機能の有効活用 ⑦道路施設の適正な維持管理を施策として位置づけています。

 7つの施策による道路計画はいずれも重要で、未整備路線の整備を着実に進めていかなければなりません。同時に、「戦略的な社会資本マネジメント」という言い方をしていますが、先人から引き継いできた社会資本を後世にしっかりと受け渡していくために適正なマネジメントも行う必要があります。マネジメントの時代とも言われるようになりましたので、整備と維持管理の両面を見ながら、道路計画をしっかりつくっていかなければならないと考えています。



道路管内図


 ――維持管理に対する基本方針は

 三上 道路整備計画のなかに「道路施設の適正な維持管理」として位置づけています。ただし、LCCを含めて一部はまだこれから計画を練り上げていく段階だと考えています。

 ――都市部、山間部、沿岸部などエリアによる維持管理方針の違いは

 三上 結果的に対象となる橋梁やトンネルがどこに位置するのかということはあるとしても、山間部のトンネル、海岸部の橋梁であるから、というようなエリアによる方針の違いはありません。

 ――長大・特殊橋を含めて定期点検が進んでいると思います。どのような考えで取り組みをされていますか

 三上 5年に1回の定期点検が一巡してみないと全体計画の策定は難しいというのが正直なところです。土木建築局で議論していることのひとつに5年ごとの定期点検をいかに効率的に行うかがあります。供用してから年数が経過した橋梁が増えてきますので、すべての橋梁を同じように点検していくと限りなく労力は増えていきます。そこを効率的に実施していくのは大きな課題だと思います。

 ――効率的に進めるためには

 三上 県独自のものとして新技術の民間公募を行っています。公募はメンテナンス分野に特化していて、点検から維持修繕までさまざまな提案を求めています。県として完全な方針を打ち出すよりは、まずは民間のノウハウを教えて欲しいという思いです。


維持管理は20、30年単位で考えなければならない

 土砂災害危険箇所の情報をデータベース化して公開

 ――長大・特殊橋の保全は進んでいますか

 三上 一部で進めているものもありますが、これからです。新設を含めた道路整備の要望を多くいただいているなかで、維持管理費用を少しずつ割いているのが現状です。これからかかってくる維持管理費用をいかに確保していくのかも大きな課題となっています。

 ――維持管理費用は具体的にどのくらいの割合を想定しているのでしょうか

 三上 これから計画をつくらなければなりませんが、予算の点からいえば何十年にもわたる計画をつくるのは難しいと考えています。「ひろしま未来チャレンジビジョン」は現行では平成28年度から平成32年度の5年間の計画で、県では5カ年計画が中心になっています。そのなかに20、30年単位で考えなければならない維持管理を当てはめるのは、本県だけでなく他の県さんでも苦労されていると思います。

 さらに、市町村レベルではもっと苦労されているはずです。当然、橋の管理を行う必要がありますが、各自治体にはさまざまな課題があって、さらに新しい道路もつくらなければなりません。そのなかで維持管理にどこまでお金をかけられるかとなると、個々の実態にあわせてとなりますが、相当財政的には苦慮されていると思います。



第二音戸大橋


早瀬大橋


 ――具体的に橋梁の維持管理で県として大変なことは

 三上 広島県独自ではないと思いますが、他県さんから見ても渡海橋が多いことです。鋼橋の塗替えもありますし、点検では長大橋となるため労力がかかります。海上での作業を考えると安全の確保も大きな課題だと思っています。施工や点検にあたっては専門家の方々と相談をしながら、安全に行うことを第一にしています。

 ――平成29年に九州北部豪雨があり、平成26年には広島土砂災害がありました。豪雨による災害が多くなっているなかで、広島県としてのり面対策をどのように考えていますでしょうか

 三上 人家にかかわる土砂災害の危険箇所は、本県が全国で一番数が多いと言われています。こちらの対応は土砂災害部局で行っていますが、それだけのり面が多いことになります。

 道路のり面については点検を定期的に行い、直前の点検結果との差異を少しでも早く察知するようにしながら、安全対策を行っています。ソフト対策では、落石や転石の情報をデータベース化していて、落石、転石が多い斜面に目がいくようにしています。道路パトロール時の情報をデータベース化して、的確に保存すれば、注意すべき路線が見えてきます。

 また、県下の道路マップのなかに土砂災害危険箇所(走行注意区間)として、平成29年からネットでも公開しています。すべての危険箇所のハード対策が行えれば理想ですが、現在の状態を示すことができるデータを提供することにより、安全な道路利用につなげていきたいと考えています。

 ――ありがとうございました

(2018年4月5日掲載 大柴功治)