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インタビュー詳細

幸久大橋4車線化工事などが進展

茨城県 復興・創生期間内に重要路線を集中的に整備

茨城県
土木部長
富永 幸一 氏

平成28年までに256橋の長寿命化対策が完了

 上部工の補修・補強は過去3年間で39橋実施

 ――橋梁の長寿命化修繕計画に基づいた対策の進捗状況は

 富永 平成21年度に橋長15m以上を対象に橋梁長寿命化修繕計画を策定し、平成27年度には2巡目の点検結果をふまえて計画を見直しています。また、平成27年度には橋長15m未満を対象に計画を策定しています。

 平成22年度から平成32年度までの対策橋梁は、775橋を予定しており、平成28年度までに256橋が完了しています。平成29年度は46橋の対策を実施予定です。

 ――上部工補修・補強の状況と、直近3年間の実績と今後の予定は

 富永 平成27年度から平成29年度までの3年間に上部工補修・補強を39橋で行っています。コンクリート部材には剥離や鉄筋露出が多く見られ、おもに断面修復を実施しています。鋼部材には腐食や防食機能の劣化が見られるため、再塗装を行っており、腐食が著しい場合では当て板補強も一部で実施しています。平成30年度はおもに判定区分Ⅲとなった小規模橋梁のコンクリート断面修復を計画しており、23橋で補修を実施する予定です。



上部工補修・補強実績と予定



補剛桁損傷状況(左)と当て板補強後(右)


大堤跨線橋 損傷状況(剥離・鉄筋露出)


大堤跨線橋 対策後(断面修復・剥落防止対策)


 ――床版防水の施工状況は

 富永 コンクリート床版を有する全橋梁に占める施工済み割合など、床版防水の施工状況は把握できていませんが、平成10年度頃から供用された橋梁には床版防水が施工されています。それ以前に架設された橋梁についても舗装補修の際には床版防水を実施している状況です。施工法については、基本的には車道部はシート系、歩道部は塗膜系を用いていますが、施工性などの諸条件を考慮して選定しています。

 ――支承や伸縮装置の取替えの実績および予定と、ノージョイント化についてお教えください

 富永 支承取替えは平成29年度に2橋(17箇所)施工しており、いずれもピンローラー支承をすべり支承に取り替えています。また、平成30年度は1橋(12箇所)で予定しています。

 ジョイントの取替えは平成29年度に6橋施工しており、非排水化としています。平成30年度は3橋で予定しています。ノージョイント化の施工事例はなく、予定もない状況です。

 ――塩害やアルカリ骨材反応などによる劣化は発生していますでしょうか

 富永 塩害による劣化は、県道水戸鉾田佐原線の涸沼橋(橋長120m)で確認されています。汽水域に架かる橋で、おもに下部工においてコンクリートのひび割れ、遊離石灰や剥離・鉄筋露出の損傷を受けています。対策としては、耐震補強のための乾式ポリマーセメントモルタル吹付を行う際に、エポキシ樹脂塗装鉄筋で補強を行っています。床版にもひび割れが発生していますが、損傷度は大きくありません。

 アルカリ骨材反応については、近年、劣化対策を行っている事例はありません。


平成30年度の鋼橋塗替えは6橋7,500㎡を予定

 のり面要対策は258箇所。88箇所を優先的に対策

 ――昨年度の鋼橋塗替え実績と今年度の予定は

 富永 平成29年度は、国道245号久慈大橋(2,400㎡)のほか、2橋で約2,800㎡の塗替えを実施しています。また、平成30年度は、6橋で約7,500㎡を予定しています。ケレンについては現場環境などから工法を検討しており、3種の採用が多い状況です。



塗替え事例 黒子橋(左/施工前・右/施工後)


 ――PCB、鉛などの有害物を含有する既存塗膜の処理はどのようにされていますでしょうか

 富永 有害物への対応については、事前に含有量調査を実施し、PCBなどの含有が確認されれば塗膜剥離剤による既存塗膜の剥離などを行っています。

 ――耐候性鋼材の採用については

 富永 約30橋で採用しています。山間部にある高萩塙線桂橋では、平成29年度の定期点検において桁端部に層状剥離の錆が確認されたため、補修について検討する予定です。

 ――のり面対策は

 富永 平成24年度の道路防災点検結果に基づいて、要対策箇所として258箇所を選定しました。そのうち、特に落石や崩落などの危険性の高い箇所や緊急輸送道路上の88箇所について優先的に対策を実施することとし、平成29年度までに39箇所が完了する見込みです。残る49箇所については、平成30年度に15箇所を予定しており、2020年度までに対策を完了する予定です。

 具体的な施工事例では、落石対策で落石防護柵工や落石防護網工など、のり面崩壊対策でコンクリート吹付工やコンクリート吹付のり枠工などの工法を、それぞれの現場条件に合わせて実施しています。



平成30年度のり面対策実施予定箇所


橋梁耐震補強工事で仮締切STEP工法を採用

 新技術情報提供データベースを整備し、登録技術を公開

 ――新技術の採用などがありましたら教えてください

 富永 現在施工中の水戸神栖線鰐川橋の耐震補強工事において、仮締切STEP工法(分割された締切鋼板(鋼製パネル)を構造物の周りに組み立て、河床に沈設し、圧入ジャッキにより必要な深度まで圧入し、圧入と併用して締切鋼板内の土砂を掘削し、止水処理・支保工を設置後、締切鋼板内を排水してドライな作業空間を確保する工法)を採用しています。




鰐川橋耐震補強工事。仮締切STEP工法を採用


 また、平成16年度から県版の新技術情報提供データベース・IT’S(Ibaraki Technology Information System)を整備し、新技術などの提案を受ける場、広く公開する場を設置しており、民間などの新技術開発力の増進に寄与するとともに、県が発注する公共工事において新技術等を導入しやすい環境づくりをめざしています。IT’Sへの登録はNETISに登録されていることを条件とし、年4回申請受付を行っています。過去1年間に登録された技術に関しては、県や市町村の担当者、コンサルタントを対象とした発表会を年1回行っています。現在、IPH工法など96件が登録されています。

 ――最後に、東日本大震災からの復旧・復興状況について

 富永 県管理の公共施設の災害復旧はすべて完了しています。大事なのは復興です。大震災で疲弊してしまった地域を昔どおりの発展に戻していくために、復興・創生期間内に対象となっている道路整備を完了させなければなりません。課題となっているのは用地買収が難航している箇所があることで、期間内に事業を完了させることが厳しい状況になっていますが、工程を工夫するなど、できる限りの努力を続けています。

 ――ありがとうございました

(2018年3月29日掲載 大柴功治)