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インタビュー詳細

熊本地震復旧や横軸になるルートも必須

九州地方整備局 東九州道などの幹線道路整備が進捗

国土交通省
九州地方整備局
道路部長
前佛 和秀 氏

 国土交通省九州地方整備局は、4,501の橋梁、155のトンネルを管理している。両構造物とも供用年数50年以上を超えた箇所を多く抱え、20年後にはそうした構造物が、橋梁では64%に達する見込みであり、早期対策は必須である。一方で、東九州の幹線となる東九州自動車道の残区間や九州横断自動車道延岡線、南九州西回り自動車道、西九州自動車道の整備も着実に進めている。また、熊本地震対策としての北側復旧ルートや阿蘇大橋の架け替え、俵山ルートの完全復旧も焦眉の急だ。そうした施策をどのように進めていくのか、九州地方整備局の前佛和秀道路部長に聞いた。(井手迫瑞樹)


一昨年は熊本地震、昨年は九州北部豪雨

 九州横断自動車道延岡線や中九州横断道路など横軸の整備必要

 ――九州地方整備局の道路の現状について

 前佛部長 まず、熊本地震からの復旧・復興が非常に大事であると考えています。平成29年4月には熊本県南阿蘇村に復興の拠点となる事務所も作らせていただき、大規模地震対策特別措置法に基づいて権限代行で阿蘇大橋や熊本県道28号俵山トンネルルートなどの復旧・復興にあたっておりますので、そこをまずしっかりと進めていかなくてはならないと考えています。阿蘇長陽大橋を含めた南阿蘇村道栃の木~立野線の開通は平成29年8月末に達成することができました。熊本県道28号線の俵山トンネルルートについても平成28年のクリスマスイブに暫定的にですが復旧させることができました。

 国道57号の(阿蘇市や南阿蘇村付近の白川沿いの)現道も大規模崩落により大きく被災しています。現在は様々な有識者の意見を聞きながら、砂防事業の様子も見つつ、復旧の仕方を検討している状況です。そのバイパス的な事業として、国道57号北側復旧ルートを平成32年度内の開通を目指して必死で取り組んでいます。

 もうひとつ、九州の自然災害としては集中豪雨による被害があります。平成29年7月5日~6日にかけて、九州北部豪雨、またその後も台風18号、21号、新燃岳の噴火による被害などが生じましたが、そうした豪雨・自然災害への対応も優先して行っていく必要があります。こうした水害は大きいものでは、(今回以外では)平成24年7月11日~14日の九州北部豪雨が記憶に新しいですが、毎年のように集中豪雨が九州各地に生じている状態が続いています。そうした事態にもしっかりと対応していく必要があります。


九州北部豪雨の被災状況①(井手迫瑞樹撮影)

左:倒壊した日田彦山線の橋梁(JR九州) 右:損傷した星野原橋(朝倉市)


九州北部豪雨の被災状況②(井手迫瑞樹撮影)

左:赤谷川沿いの被災状況 右:山国川にかかる記念橋(右岸部の橋台背面の流失、大分県中津市)

 当整備局では、高規格幹線道路8路線1,513kmが計画されており、これまでに1,265km(84%)の整備を完了しています。現在は新直轄事業として、東九州自動車道、九州横断自動車道延岡線、一般国道の自動車専用道路整備として、南九州西回り自動車道、西九州自動車道の整備を進めています。

 熊本地震が発生し、10日後には概ね直轄国道は復旧しましたが、九州自動車道が被災によって通行止めとなったため、東九州自動車道が九州自動車道の物流代替路や復旧活動の支援道路として活用されました。しかし、その際に横軸となる道路ネットワークの脆弱性が指摘されました。

 今後発生が予想される南海トラフ巨大地震に向け、インフラ施設の耐震強化を進めるとともに、九州の横断軸である九州横断自動車道延岡線や中九州横断道路を整備することにより、災害時の避難・緊急輸送などの円滑化に向けたネットワークの多重化、代替性確保を進めつつ、港湾や空港との連携を強化し、物流や人流の円滑化を図っていく必要があります。加えて人口減少・超高齢化社会を踏まえて、持続可能な成長を目指して行くためには、安全・安心な地域づくりとともに、生産性向上につながるストック効果の高いインフラの整備、活用が重要であると考えています。


東九州自動車道の波及効果続々

 日南北郷~日南東郷間9kmが今年度開通

 ――改築事業について東九州自動車道から

 前佛 東九州自動車道は平成28年4月に北九州市~宮崎市間が開通し、新産業の創出や雇用の増加などさまざまな波及効果が出ています。例えば外国から来るクルーズ船は日本全国の6割が九州に集中していますが、そうした観光客の移動も東九州自動車道の北九州市~宮崎市への開通によって移動しやすくなったため、観光客の周遊による波及効果も期待できると考えています。

 現在、未開通区間のうち、今年度に日南北郷~日南東郷間(9.0km)、平成32年度に志布志~鹿屋串良JCT間(19.2km)の開通を予定しています。油津~夏井間は計画段階評価および都市計画決定済みの状況です。


九州横断自動車道延岡線 平成30年度に約14kmが新規開通予定 

 ――次に九州横断自動車道延岡線は

 前佛 熊本・宮崎県境や宮崎県内の一部が、まだ事業着手できていない状況で、蘇陽~高千穂間については計画段階評価実施中です。同地は勾配差が大きく、地形的にも厳しいですが、横断軸を確保するためにも事業を着実に推進していきたいと考えています。

 現在、未開通区間のうち小池高山~矢部、高千穂日之影道路については、国土交通省において事業を進めており、平成30年度に小池高山~北中島間(10.8km)、末市交差点~深角間(2.8km)の開通を予定しています。

 ――南九州西回り自動車道の整備状況は

 前佛 南九州西回り自動車道は、熊本県八代市を起点として鹿児島県鹿児島市に至る延長約140kmの高規格幹線道路です。これまでに、八代JCT~津奈木間、出水~阿久根間、薩摩川内水引~鹿児島間で全体延長の約7割に当たる約98kmが開通しています。現在、芦北出水道路、阿久根川内道路の約44kmの事業を進めています。

今年度は、出水阿久根道路の出水~高尾野北間(3.9km)が開通しており、平成30年度は、芦北出水道路の津奈木~水俣間(5.6km)の開通を予定しています。

 ――西九州自動車道の整備状況は

 前佛 西九州自動車道は、福岡県福岡市を起点として佐賀県武雄市に至る延長約150kmの高規格幹線道路です。これまでに、月隈JCT~南波多谷口間、山代久原~調川間、佐々~武雄JCT間で全体延長の約7割に当たる約108kmが開通しています。現在、今宿道路、唐津伊万里道路、伊万里道路、伊万里松浦道路、松浦佐々道路の約49kmの事業を進めています。

 今年度は、伊万里松浦道路の今福~調川間(2.6km)が開通しており、唐津伊万里道路の南波多谷口~伊万里東府招間(5.3km)の開通を予定しています。平成30年度は、伊万里松浦道路の調川~松浦間(2.2km)の開通を予定しています。