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インタビュー詳細

長大橋、大深度地下、近畿圏久々のビッグプロジェクト

国土交通省近畿地方整備局浪速国道事務所 大阪湾岸西伸部と淀川左岸線延伸部の事業に着手 

国土交通省
近畿地方整備局
浪速国道事務所長
粟津 誠一 氏

大阪湾岸道路西伸部 阪神高速道路と合併施工

 14.5km中14.1kmが橋梁 

 ――国道2号大阪湾岸道路西伸部については

 粟津 大阪湾岸道路については、関西国際空港(りんくうJCT)から神戸(六甲アイランド)までは平成6年に完成していますが、西伸部がなかなか進まない状態でした。平成28年度に六甲アイランド北~駒栄間14.5kmが国直轄事業として事業化され、平成29年度からは、阪神高速道路との合併施工方式を導入することが決まりました。


上空から見た大阪湾岸道路西伸部のルート

 西伸部は国際戦略港湾である阪神港の機能を強化し、物流の効率化にも寄与することから、港湾計画にも位置づけられた道路となります。西伸部は六甲アイランドとポートアイランドの2つの人工島を通過しますが、阪神淡路大震災のときに液状化により大きな被害があった地域でもあることから、減災や災害に強いということもコンセプトに設計を進めていく必要があると考えています。また、六甲アイランドとポートアイランドの間は国際航路の新港航路や灘浜航路があり、ポートアイランドと和田岬の間は神戸西航路があります。新港航路については、航行する船舶の高さも考慮して、橋梁は65.7mの桁下クリアランスを確保しています。これは、神戸市とも調整して、近年の大型クルーズ客船の動向や過去の入港実績等をふまえて設定した高さであり国内最大級となります。

 新港航路、灘浜航路、神戸西航路を跨ぐ橋梁はそれぞれ海上部を渡る長大橋となることから、今後、詳細な地質調査等を行い、構造も含めて決めていきたいと考えています。西伸部は、全区間6車線で計画されており、構造物は14.1kmが橋梁で、0.4kmがトンネルとなります。大阪湾岸道路は神戸淡路鳴門自動車道(垂水JCT)までの計画になっていますが、現在は駒栄ランプ(仮称)により神戸山手線に接続する形としています。


大阪湾岸道路西伸部全体図


海上部のボーリング調査綿密に行う

 将来にわたる道路利用を考慮

 ――当地は阪神淡路大震災で地盤も含めて大きな被害が出ました。今年度の示方書改定では基礎の確実な根入れが求められていますが、当地の基礎はどのくらいの深さになるのでしょうか

 粟津 基礎の決め方は地盤と断層の有無が関係します。基礎は地盤の支持力で決まりますし、断層については、地盤の変位に対して冗長性のある構造を考える必要があります。今回の示方書の改定でも想定外のことが起こったときにすべてをガチガチでもたすという概念ではなく、致命的な損傷を回避できる構造とすること、緊急時の点検や診断が確実かつ容易にできる構造とすることが謳われていますので、それをふまえて設計をすることとなります。

 仮に想定外の地震が起きたときに、損傷してはいけない箇所と損傷しても良い箇所をきちんと分けること、損傷した際に迅速に補修ができるのかどうかをしっかりと考えて、設計に反映させていきたいと考えています。神戸空港建設時にも調査をしており、本区間には摩耶断層と和田岬断層を間に挟むことがわかっているので、今年から海上部のボーリング調査を行っており、詳細な情報を把握していきたいと考えています。

 ――基本的には杭基礎でしょうか

 粟津 都市計画決定の段階では、海上部の橋梁の基礎は鋼管矢板基礎を計画していますが、今後調査を進めていくなかで、近年の技術動向も踏まえ最適な形式を決定していきたいと考えています。

 ――海上部の橋梁は斜張橋でなく、吊橋とする考えはありえないですか

 粟津 今後の車両の大型化への対応や耐震性など、利用者にとって使いやすい橋となるように、予断なく議論をしていきたいと考えています。

 ――熊本地震後の復興において新しい阿蘇大橋を設計する時に、ひとつはラーメンで固めるという話と、断層をかわして橋脚をつくるべきという考えが示されました。阿蘇大橋では工期の関係からラーメン形式が最終的に選択されましたが、ここも断層があるのならば、そこに橋脚をつくらずに、飛ばすことも一つの考えではないでしょうか

 粟津 断層の詳細な位置などを特定するためしっかりと調査を行い、調査結果をもとに有識者にもご意見を頂き検討を進めたいと考えています。

 ――海に近いので防食も充実させないとならないのでは

 粟津 重防食の考えもあるでしょうし、わざとどこかを防食させてそれを交換していくという方法もあると思います。

 ――現状は

 粟津 測量やボーリング調査などを行っています。

 ――神戸港は国際戦略港湾ですが、貨物の関係から荷重25tでいいのかという議論はありましたか

 粟津 物流トラックの大型化という観点は議論する必要があると考えています。道路構造令などの法令から逸脱するわけにはいきませんが、近い将来としてそれがどう改正されるかは考えていかなければならない。その時に現場が一番の弱点になるわけにはいきませんので、先取りできるものはコストと相談して検討することを考えています。また、当該地の特色を踏まえ、将来にわたり地域の核となる道路として機能するにはどのように建設すれば良いか、ということを重要視して、広い目で考えていきたいと思います。安全率という考え方で余裕をもたすのか、など選択肢はいくつか用意していきたいですね。

 ――設計はいつごろくらいから

 粟津 来年度以降になります。今年度はボーリング調査を進めます。

 ――長大橋は後回しにして、アプローチ部などの設計を先に出すことは

 粟津 陸上部については、起点側の六甲アイランド地区は、今年度、橋梁の予備設計を実施しています。ポートアイランド地区は、測量、ボーリング調査の準備中です。和田岬以西は、ほとんどが貯木場や企業所有地で、そうした対象者に対して説明を行い、測量、ボーリング調査を実施しています。