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インタビュー詳細

2018年新年インタビュー① 東海環状自動車道・名古屋環状2号線など事業進む

中部地方整備局 続く橋梁上部工の施工

国土交通省
中部地方整備局
道路部長
河南 正幸 氏

熊野尾鷲道路(Ⅱ期)のトンネル工事は約2.5km施工中

 熊野道路は橋梁延長1.1km、トンネル延長は約4kmにおよぶ


 ――国道42号熊野尾鷲道路(Ⅱ期)は

 河南 今年度は約42億円を投じて、尾鷲北IC~尾鷲南IC間約5.4kmについて、改良工事、橋梁下部工事、トンネル工事を推進しています。同区間の橋梁延長は0.7km、トンネル延長は3.8kmです。現在は尾鷲第4トンネル(2,470m)の工事を進めており、尾鷲北トンネル(718m)については今年度貫通したところです。

 ――国道42号熊野道路は

 河南 今年度は熊野大泊IC~熊野市久生屋町間約6.7kmについて、約3億円を投じて用地買収、環境調査などを推進しています。同区間は橋梁を約1.1km、トンネルを約4kmの計画です。

 ――国道158号高山清見道路は

 河南 事業延長24.7km中既に15.2kmが開通しています。今年度は約39億円を投じて、残る高山IC~丹生川IC(仮称)間9.5kmについて改良工事、橋梁下部工事、トンネル工事を推進しています。主な構造物として、上野トンネル(全長800m)は既に貫通済みです。同区間の構造物は橋梁が1.7km、トンネルが2.1kmとなっています。


静清BP 平成30年度中の全線4車線化を目指す

 1号清水立体には今年度工事に本格着手

 ――国道1号静清バイパスは

 河南 全長24.2kmは既に2車線開通済みで、さらに21.2km区間は4車線開通済みです。今年度は約41億円を投じて、牧ヶ谷IC~丸子IC間3.0kmについて平成30年度の全線4車線化に向けて、改良工事、橋梁上部工事を進めています。また関連する1号清水立体は今年度、本格的に工事着手します(※編注 12月12日に八坂高架橋工事で適用する技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)の説明会を開催した

 ――国道23号名豊道路は

 河南 名豊道路は、知立BP・岡崎BP・蒲郡BP・豊橋BP・豊橋東BPで形成される延長約73kmの道路であり、これまでに約64kmが開通しています。

 今年度は約47億円を投じて蒲郡BPの豊川為当IC~蒲郡IC間約9.1kmについて、改良工事、橋梁下部工事、トンネル工事を進めています。施工中の主な構造物としては国坂トンネル(678m)と豊沢トンネル(336m)があり、国坂トンネルは今年度貫通し、豊沢トンネルは平成30年度に完成予定です。同区間の構造物は橋梁が約2.3km、トンネルが約1.5kmとなっています。


中勢道路は約2.9kmについて平成30年度の開通を目指す

 伊南BP 橋長990mの長大PC橋を施工中

 ――国道23号中勢道路は

 河南 事業延長33.8kmのうち28.1kmが開通済みで、現在は鈴鹿市御薗町~津市河芸町三行間約2.9kmについて、平成30年度開通に向けて、改良工事および橋梁上下部工事を施工中です。また残区間の約2.8kmについては、早期開通に向け、用地買収および改良工事を実施しています。同事業の今年度予算は約52億円です。

 ――国道153号伊南バイパス事業は

 河南 同BP事業は延長9.2km中7.4kmが開通済みです。今年度は約34億円を投じて、上伊那郡飯島町田切~駒ヶ根市赤穂市場割間約1.8kmについて、平成30年度開通に向けて、改良工事、橋梁上部工事を施工しています。主な構造物としては伊南バイパス4号橋(橋長990m、PC8+6+3径間連続ラーメン箱桁)があります。


伊南バイパス4号橋の進捗状況①(読者提供)


伊南バイパス4号橋の進捗状況②


藪原改良を今年度新規事業化

 ――今年度新規事業化した区間は

 河南 国道19号の長野県木曽郡木祖村藪原地内約1.1kmに計画している藪原改良事業を新規事業化しました。防災課題箇所の解消および交通安全の確保を目的とした道路事業で、全線をトンネル構造としています。


発注済・施工中橋梁は101橋に及ぶ

 大規模橋梁上部工事も18件、トンネルは20工事を発注

 ――今年度施工中の主な橋梁、トンネルは

 河南 現在発注済み・施工中の橋梁は合計すると101橋に及びます。主要橋梁(1工事15億円以上を検出)としては15橋(18件)、トンネル工事としては20工事発注しており17トンネルが施工中です。 


上部工施工中の主要橋梁一覧


事業中の主要トンネル一覧


 特徴ある橋梁としてはまず、天龍峡大橋が挙げられます。同橋は天竜川とJR飯田線の直上(川面からのクリアランスは最高で約80m、軌道敷から橋面までは66mに達する)に架かる橋長280m(アーチ支間210m、アーチライズ19m)の鋼上路式アーチ橋です。鋼重は約3,800tです。床版形式はプレキャストPC床版で床版厚は270mmです。アーチ桁(主桁)部分はケーブルエレクション斜吊工法で施工しており、アーチ桁は今年度閉合しています。現在はケーブルクレーンにて補剛桁を架設しています。補剛桁が閉合した後に、床版および側径間の桁・床版を架設していきます。



天龍峡大橋の施工①

 ――風光明媚な景勝地に架かる橋ですが、景観面では何か配慮していますか

 河南 色彩は周辺景観に馴染む山鳩色を採用しています。また、渓谷に収まりが良くなるように扁平でスレンダーな形状を用いています。また、桁下の検査路について、同地を訪れた人が景勝に親しめるように、飯田市と協力し、歩道としても利用できるようにすることとしています。


天龍峡大橋の施工②


 ――伊豆縦貫道自動車道の狩野川横断高架橋でも面白い工法を採用されていますね

 河南 同橋は橋長171m、アーチ支間110mのRC上路式アーチ橋です。縦断線形は8%に達します。一級河川狩野川を渡河する箇所に架かる橋梁であり、架設はメラン材ロアリング工法を用いて施工しました。



ロアリング工法で施工した狩野川高架橋


 ――ここでロアリング工法を採用した理由は

 河南 架設条件として、河川を渡河するため仮橋等の設置が制約されること、構造上の特長として、標準幅員が11.5mから31.5mに拡幅する特殊な形状をしていることから、鋼桁橋や張出架設の橋梁を採用することは出来ませんでした。このため経済性・施工性において優位なアーチ橋を採用しています。アーチ支間110m程度のアーチ橋架設ですので、実績が多く、経済性・施工性に優位なメラン材ロアリング工法を採用しました。

 ――外に特徴的な橋梁は

 河南 橋梁構造的な特徴はありませんが、名古屋環状2号線の梅之郷南1高架橋は、国道23号上を跨ぐため送り出し架設を行いました。東海環状自動車道の赤坂北第一高架橋も国道21号上を送り出し架設する予定です。名古屋環状2号線の高架橋群は、国道302号に両側を挟まれたヤード内に架けているため、安全面でより細心の注意を払いながら施工する必要があります。



梅之郷南1高架橋の架設


 ――トンネルは

 河南 現在計画・施工中のトンネルは全てNATMを採用しています。1,000mを超える長大なトンネルは8本あります。延長3,565mの三遠道路3号トンネルは、両坑から約半分ずつに分けて同時に施工しています。延長4,930mの岐阜山県第1 トンネルは現在契約手続き中(12月現在)です。

 とりわけ施工が難しいのが、三遠南信自動車道の青崩峠道路トンネルです。同トンネルの建設予定地は中央構造線に近接しており、現在は調査坑を掘って地質を調査しています。


小嵐側調査坑の施工①(ズリ出し/ロックボルト/削孔)


小嵐側調査坑の施工②(支保工建て込み/装薬)


池島側調査坑の施工①(ズリ出し/ロックボルト/削孔)


池島側調査坑の施工②(支保工建て込み/吹付けコンクリート)


 ――最近、深く東北地方整備局を取材する機会に恵まれたのですが、同整備局はコンクリート構造物の品質を非常に重視し、さまざまな施策を試しています。中部地整でそうした取り組みがあれば

 河南 基本的には橋梁については中部地方整備局独自の「橋梁長寿命化に向けた設計の手引き(案)」を使用して、支承周りや水周りに注視して設計を行っています。鋼橋では耐疲労性、防食性能、鋼コンクリート合成床版においては、コンクリートの品質を重要視しており、その品質確保策について技術提案を求め、総合評価の中で評価しています。ある程度同じような提案が出てきたものについては、それを新たな標準とし、新技術を募り品質向上を図っています。

 コンクリート構造物については、塩害対策として、壁高欄や地覆にはシラン系やけい酸塩系の含浸材を先行塗布しています。支承周りも積み重ねた知見をもとにして水が流れやすい構造としています。

 ――トンネルについては

 河南 覆工コンクリートのひび割れや止水性、充填性の品質確保策について技術提案を求め、総合評価の中で評価しています。

 ――最初からハードルが高い気がします

 河南 NATMは昭和の終わりぐらいから使い出しましたが、どうしても天端あたりで締め固めが弱い部分があるので、そこからクラックが発生するケースがあります。空気が流れることによって温度ひび割れや、インバートの拘束ひび割れも生じる可能性があります。施工に関わる部分で総合評価が始まってからは天端部分についてはだいぶクラックが減ったと思います。

 ――コンクリートの品質向上という点では、東北地整では施工状況把握チェックシートを導入し、表層目視を行っています。高耐久PC桁なども導入していますが、中部地方整備局ではそうした取り組みは行っていますか

 河南 現状、そこまでは行っていません。