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インタビュー詳細

独自技術での補修・補強工事で高い収益性を確保

極東興和社長インタビュー 技術で社会に貢献する企業に

極東興和株式会社
代表取締役社長
藤田 公康 氏

 極東興和は昨年度、総売上高、純利益ともに過去最高を記録した。大型工事の受注効率向上と、独自技術で高い利益率を生み出す補修・補強工事の好回転がその要因だ。さらにその背景には、経営基盤の強化と高い技術力を生み出す社員育成、大学との共同研究といった取り組みがあった。具体的な取り組みと事業展開を藤田公康社長に聞いた。(大柴功治)


技術力向上のために留学制度を創設

 13大学6民間機関と共同研究進行中

 ――おもな経歴からお願いします

 藤田社長 大学を卒業してアメリカのハートフォード大学でMBAを取得後、昭和51年に大塚製薬に入社して企画課長として長期経営計画を策定していました。昭和56年に極東工業(現極東興和)に取締役社長室長として入社、常務取締役管理本部長を経て、昭和60年に代表取締役社長に就任しています。

 ――極東工業に入社された経緯とその時の印象は

 藤田 祖父が藤田組(現フジタ)の共同創業者で、極東工業の株主でもありました。祖父が亡くなり、父が名目上の会長となっていましたが、親族はひとりも関与していませんでしたので、その後継者ということで当時の専務が声をかけてくれました。

 極東工業がコンクリート構造物を扱う会社であることはわかっていましたが、力学や構造上の問題などの詳しいことはよくわかっていませんでしたし、いまでも現場に行くときは「遊びに行くよ」と言っています。

 ――昭和60年に社長に就任されてから、会社組織や制度で変えられたことは

 藤田 MBA時代に学んだことが持株会社の設立やM&Aでしたが、当時の日本では独禁法で禁止されていました。解禁後の平成14年に持株会社であるビーアールホールディングスを設立しています(平成17年社長就任)。「ビーアール」はBridgeの頭文字2文字から取っています。持株会社を設立したのは、異なる事業特性、成長ステージを擁するグループ企業で構成された企業群とするべく、グループ全体をまとめ、企業価値の最大化に努め、資本効率のさらなる向上を目指すためです。

 さらに、事業エリアの地域補完を目的として平成17年に関西、中部、関東エリアを基盤としていた興和コンクリートを買収し、平成19年に東北エリアを基盤としていた東日本コンクリートを子会社化しました。平成20年には極東工業と興和コンクリートが合併し、極東興和となっています。

 物理的な経営基盤の強化を進めたわけですが、技術力やそれを生み出す社員育成も重要であると社長就任時から考えていました。そこで、資格をとれば給料が増える特別資格登録手当支給制度をつくりました。

 当時の極東工業は良くも悪くも技能者集団で、突然、事業とは関係のないスピーカーをつくり出すなど社内統一がされていませんでした。それを橋梁事業と補修事業に集中して、勉強したい社員を社費でアメリカやドイツに留学させる制度を昭和62年に創設したことも自前の技術力を高めたいという思いのひとつでした。小さい会社ですので、最初は留学先に相手にされなかったところを無理やりに頼んで、ひとりずつ受け入れてもらいました。海外留学の人数は少ないですが、たとえば高専卒業の社員がアメリカの大学から大学院まで3年間留学したこともあります。広島大学や山口大学、京都大学などへの国内留学にも積極的に取り組み、現在では4名が工学博士を取得していて、ふたりが大学院在学中です。これは社費と広島県の助成金を活用しています。

 技術士の資格取得者も平成10年以降増えています。当初はコンクリート構造物など橋梁建設関係がほとんどでしたが、工学博士取得者が出てきた平成20年以降はすべて補修・補強関係で、事業展開にあわせシフトしてきました。



教育機関との連携


主要資格取得者(率)の推移


 ――技能者集団から技術者集団に変えていったわけですね。また、補修部門にも約10年前から力を入れていました

 藤田 独自の技術を持った集団になりたいだけですが。現在、先の広島大学や山口大学、京都大学をはじめ13大学に加えて6民間機関と共同研究を行っています。内容は補修・補強分野がほとんどで、社員が留学をして研究を続けてきたことが順番に効果を発揮しています。具体的には、狭隘な施工環境で既存構造物に近接して杭を増設できるマイクロパイル工法、亜硝酸リチウムをコンクリート内部に均等に圧入して、塩害やASRによる劣化を抑制するK-LIP工法、既存のコンクリート構造物にプレストレスを導入できるK-PREX工法となります。K-PREX工法は平成22年度から技術開発に取り組み、山口大学との共同研究を経て、昨年度に初めて実工事を行いました。

 また、大学と共同研究を続けることで、研究室から新卒者を確保しやすいこともあり、採用の面でもうまく回っています。