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気仙沼湾横断橋、津谷川橋など長大橋が続々と進捗

仙台河川国道事務所 復興・復興支援道路建設佳境へ

国土交通省
東北地方整備局
仙台河川国道事務所
所長
松居 茂久 氏

ジョイント取替は20橋程度を予定

 基本的に二重止水タイプを採用

 ――支承取替やジョイント取替え、ノージョイント化などについて今年度の予定は

 松居 今年度予定は支承取替は1橋程度、ジョイント取替は20橋程度を予定しています。ジョイント取替については、基本的に二重止水タイプを用いています。ノージョイント化の予定はありません。

 ――既設における二重止水タイプとはどのような工法ですか

 松居 従前は弾性シール材などによる1次止水のみの仕様が一般的でありましたが、近年はジョイント部からの漏水による劣化などが見受けられることから、2次止水として交換可能な樋構造を追加した二重止水構造が主流となっています。


二重止水タイプ


プレテンT桁で被り不足が生じているケースも

 PC鋼材まで腐食が進行している事例は無し

 ――塩害やアルカリ骨材反応による劣化は生じていませんか。劣化があればその原因やどのような形で出ているか、またはその対策工法などを具体的な橋梁を挙げてお答えください

 松居 塩害については鋼桁で端部の腐食、PC・RC桁で鉄筋の腐食という形で生じています。アルカリ骨材反応による大きな劣化は確認されていません。仙台市内ではPC桁の顕著な損傷はありませんが、鳴子(大崎市内、山形県との県境部)のあたりまで行くと、高度経済成長期に建設したプレテンT桁で、被りが無くて鉄筋が出てきてしまい、錆が生じています。ひび割れではなく初期の被り不足によって錆が生じているわけです。

 ――被り不足が要因なのにポステンではなくプレテンでですか

 松居 工場製作の段階で品質が悪かったのでしょうね。

 ――そうした橋梁はどのように補修しているのでしょうか、具体例を挙げて教えてください。また、こうした個所ではPC鋼材の腐食にまで至っているケースもあるのですか。あるとすればどのように対応していますか

 松居 過去3年間でプレテンT桁の補修事例はありませんが、対策は鉄筋のさび落とし、防錆処理後、断面修復と損傷原因を併せて補修します。今のところPC鋼材まで腐食が進行している事例はありません。

 ――現場打ち中空床版橋において、円筒型枠が浮くことにより、損傷を惹起しているケースも散見されていると聞きますが、管内でそのような損傷はありませんか

 松居 管内では損傷が確認された橋梁はありません。平成28年度、国道4号の現場打ち中空床版橋2橋で車載式電磁波レーダ計測、ファイバースコープ等で調査を実施しています。その結果、部分的にかぶり不足が発見されました。今年度対策を行う予定です。

 ――今年度の鋼橋塗替え予定と鋼橋塗り替えの際の既存塗膜の処理方法についてお答えください

 松居 今年度の塗替え予定はありません。

 ――既設塗膜にPCBや鉛を含む既設塗膜の処理についてどのような除去、素地調整、後処理を行っていますか

 松居 PCBや鉛等の有害物質を含む補修の際は1種ケレンを行います。施工方法は塗膜剥離剤などを使用して湿式で行っています。ただし、添椄部や隅角部については湿式では取り切れない場合があるのでブラストを併用しています。なお、ブラストは粉じんを抑制するため循環式の工法を採用しています。

 塗膜除去後は、塗膜かすを出張所で適切に保管し、特定の処理機関で適切に処理しています。

 ――耐候性鋼材を採用した橋梁で錆による劣化・損傷が報告されている事例が出てきています。仙台河川国道事務所管内ではそうした損傷は起きていませんか

 松居 当管内には耐候性鋼材を使用した橋梁は石巻市、大崎市や蔵王町などで14橋ありますが、健全度Ⅲに相当する橋梁は2橋有り,そのうち耐候性鋼材の腐食に起因するものが1橋あります。排水装置から主桁への水かかりによる部分腐食があり、腐食部のさび落としと併せて排水装置の補修とが必要になっています。他の橋でも局部的にc-1と診断されている桁もありますので、経過観察した上で対策を検討していきます。


耐候性鋼材橋の損傷状況

 ――腐食部のブラストを行った上での端部塗装、予防保全的な端部塗装、腐食が著しい場合は桁を一部、塗装した部材に交換するなど、メニューは様々にありますが、どのような対策を考慮していくのでしょうか。また、そもそも耐候性鋼材は裸使用なのか、カプテンコートやウエザーアクトなど処理材を用いているのか、端部塗装を予め施しているのかなど建設時の手法も含め、状態を教えてください

 松居 14橋とも裸使用で、端部塗装は行っていません。腐食の状況、原因に応じて水洗い、さび落としのブラスト、塗装など検討します。

 ――管内で橋梁の架替えや大規模修繕などを行う予定の構造物はありますか

 松居 国道48号の仙台市内作並温泉街の広瀬川に架かる湯渡戸(ゆわたど)橋の架替えに着手しています。昭和28年に供用された橋長96.7mの現橋は老朽化が目立つことや耐震性能の不足、幅員が6.2mと非常に狭く大型車のすれ違いが困難なことから平成27年度に事業化したものです。今年度は用地調査・買収を進めるとともに工事用道路の建設に着手しています。

 ――保全分野における新技術や新工法の採用事例を具体的に挙げてください

 松居 現在はNETISの掲載期間が過ぎたものを含めて、支承の若返り工法、バキュームブラスト工法、パネル式システム吊り足場「セーフティSKパネル」、SEリミッター、KMAジョイント、アンカーロック、BM-Sダンパーなどを採用しています。

 ――最後に増加している豪雨など異常気象への対応と、平成32年度の復興創生期間終了へ向けての人手の確保等について、対策をお話しください

 松居 最近の異常気象については大変心配しています。昨年(平成28年)の台風10号も岩手県の岩泉付近に上陸し、猛威を振るった台風10号も実は仙台湾に上陸すると予報されており、緊張しながら備えていました。これだけ沢山ストックが増えてきている以上、うまく使って人やモノの流れを途絶えさせることなく、道路インフラを提供していくことが我々の使命です。そういう観点からも防災に備えた点検をしっかり行い、道路に面した法面や斜面、盛土といったところの点検について、毎年点検を実施している状況にありますし、その結果出てきた対処すべき斜面などにつきましては、設計をして対策工事に速やかにつなげていきます。過去に施工した法面においても経年劣化は当然出てきますので、その損傷を見逃すことなく、管理を行っています。また、対策を行うまでには至って無くても要注意箇所はカルテに記しており、台風や豪雨などが起きた際には重点的に点検を行うよう配慮しています。

 昨年度は仙台西国道維持出張所と石巻国道維持出張所の管内において落石対策工事を施工しています。

 一方で、こういう地域密着型の事業をしっかりとやり遂げていくためには、復興事業も含めてなのですが、不調・不落対策をきちんと行っていく必要があります。受注企業側からしても、主に技術者不足などからやむを得ず不調・不落になっているわけです。そのため、人手が厳しい中でも優先して国の事業の受注に向かうインセンティブを与えるために、さまざまな対策メニューを用意しています。

 ――具体的にはどのようなものですか

 松居 複雑な工事の場合に見積もり活用方式を採用したり、発注から実際の工事着手までの余裕期間を与えて、直ちに人が手当てできなくても(着手時期までの技術者配置のめどが付いていれば)受注できる制度の採用や、ICTを用いた省人化・省力化技術の導入などを行っています。それでも当事務所では不調・不落が発生しています。

 ――仙台河川国道事務所のような魅力的な工事が多い事務所でも不調・不落は生じているのですね

 松居 何しろ工事発注件数が多いですから。受注が滞りなく決まるのはここ数年は春先だけです。夏場以降は人手の枯渇から、応札企業は徐々に少なくなり、秋を過ぎると不調・不落のリスクが高まっていくというのが実情です。復興創生期間に集中投資を行っているのは我々だけではなく、自治体など全ての機関がそうですから、その中で受注していただくためにも魅力的な工夫して提示し、かつその案が受注者に真に魅力的なものとして映っているのかどうかを折にふれて確かめるといった試行錯誤を行っていくことが重要であると考えます。

 ――ありがとうございました

(2017年11月16日掲載)

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