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インタビュー詳細

気仙沼湾横断橋、津谷川橋など長大橋が続々と進捗

仙台河川国道事務所 復興・復興支援道路建設佳境へ

国土交通省
東北地方整備局
仙台河川国道事務所
所長
松居 茂久 氏

気仙沼唐桑工区の総切土量は350万㎥

 発生土の搬出時期を調整

 ――そのほか、復興・復興支援道路でのコスト縮減策や全体的な耐久性向上策などありましたら教えてください

 松居 一つは気仙沼唐桑工区での発生土調整があります。当工区の総切土量は350万㎥あり、うち250万㎥の残土が、発生する事業地外へ搬出する必要があります。

 被災した市街地は、地盤などのかさ上げに大量の土砂が必要となりますが、事業期間の違いから受け入れ先との協議・調整が難航しました。しかし、平成29年度までに発生する土砂約130万㎥を処理する必要があるため、宮城県の気仙沼土木事務所、気仙沼地域振興局、気仙沼市、大船渡土木センターなど周辺事業と協議・調整を積み重ねて、相手先の必要な時期・土量・土質を確認し、発生土の搬出時期を調整しました。


各発注者と協議し、ストックヤードなどを確保

 円滑な切土工程の確保と、今後のマッチング協議を柔軟に実施できるよう、ストックヤードの借地も確保して、概ねマッチングを完了させ、残る発生土についてはマッチング協議を継続実施しています。

 また、一部で函渠断面の見直しによるコスト縮減を図っています。例えば人道+水路で設計していた個所を人道函渠と水路函渠を分離した結果、工費を約半分に抑えています。一方では、盛土下の農業用排水の函渠を3つから1つにまとめることで、25%程度のコスト縮減を実現しています。


函渠断面の見直しによるコスト縮減

 ボックスカルバートに関しては、管内では概ねプレキャスト製品を使っています。震災直後の鉄筋工や型枠工が不足した折では、現場で組んだり打設したりする手間を省くため合理性があったわけですが、コスト的にはどうしても高くなっています。そのため人員的に余裕が出ている箇所については、受注業者と話し合った上で現場打ち施工に戻すことも考慮しています。

 唐桑南オフランプ橋では橋長を半分以下にすることなどで合計1億9千万円のコスト縮減を図っています。普通河川(万行沢川支川)上を国道45号が渡河する橋梁であり当初は鋼2径間連続箱桁橋でした。河川管理者と協議した結果、河川をパイプ構造に変更したことにより橋梁を58mから27mと半分以下にし、単純桁化することで橋脚を1基廃止したことなどが主な要因です。

 耐久性向上策としては、橋梁における損傷の原因として、凍結防止剤を含む雨水の浸透による塩害や凍害が、これまでの東北地方整備局管内の橋梁点検結果から明らかになってきています。そのため全線の新設橋で言えることですが、桁端からの漏水対策として鋼桁の桁端部塗装、塩害対策、排水対策等を施しています。


仙台拡幅 中の坂橋の上部工に着手

 ――他、復興・復興支援道路以外で進捗中の主な事業は

 松居 まず、国道4号の仙台拡幅があります。事業延長は苦竹ICから鶴ケ谷交差点までの4.6kmで、平成19年3月に苦竹IC~山崎交差点間2.8kmの6車線化が完了しています。現在は、山崎交差点~鶴ケ谷交差点までの1.8km区間の改良工事を施工中であり、平成28年度末の事業進捗率は約76%となっています。同区間には構造物はありませんが、仙台市の事業である市道中の坂線改良工事に伴い、国道4号と立体交差する橋梁(中の坂橋、40.1m、鋼単純合成箱桁)を受託し、上部工に着手しています。


仙台拡幅事業の構造物一覧


 ――国道4号金ヶ瀬拡幅は

 松居 刈田郡蔵王町宮~柴田郡大河原町金ヶ瀬間延長約3.7km区間について交通混雑の緩和や安全確保を目的として現道を4車線に拡幅する事業です。28年4月17日までに2.9kmが開通しています。残る800mも30年度の開通を目指して工事を進めており、用地買収は完了、28年度末の事業進捗率は76%に達しています。事業区間に橋梁・トンネルはございません。

 ――国道108号古川東バイパスは

 松居 大崎市街地部の交通混雑緩和や安全確保を目的に同市古川鶴ヶ埣(つるがそね)~同市古川稲葉(国道4号とのタッチ)間で進めている延長5.1kmのバイパス事業です。すでに起点側から2.8kmを暫定2車線で供用しています。28年度末の用地進捗率は約68%、事業進捗率は約34%となっており、今年度は用地買収および工事を進めています。

 ただし、事業の進め方としては残る全線を一気に開通させるのではなく、できるところから小刻みに供用させていく方針であり、順次用地買収を進めているところです。事業区間には橋梁が3橋ありますが、全て完成しています。


国道45号復旧 7橋の橋梁を架け替え

 水尻橋 ポステンホロースラブで初の高耐久桁

 ――国道45号現道について橋梁の復旧状況は

 松居 汐見橋、水尻橋、大沢第二橋、二十一浜橋、小泉大橋、歌津大橋、天王橋では、東日本大震災の津波で流されるなど被災した橋梁の架け替えを行っています。


国道45号復旧 橋梁進捗状況

 水尻橋(2径間連結ポステンホロースラブ桁橋、橋長76.5m、幅員3.5+10.0+3.5)では、平成28年3月に規定された高耐久桁(塩害対策Ⅰ)仕様ですが、ポステンホローで同仕様を採用するのは初めてであるため、実物大のPCグラウト実験を行っています(現場を巡る欄で詳細記事掲載予定)。この成果は復興・復興支援道路のPC橋に反映していきます。


実物大PCグラウト実験/歌津大橋(井手迫瑞樹撮影)

 流された歌津大橋は、湾内をショートカットする線形でしたが、この位置関係を改め、旧道を活用する形で少し陸側に線形を振ります。橋長113mの少し曲線が入った単純鋼床版2主箱桁橋を予定しています。桁高は4mに達します。現在は下部工に着手した所です。

 ――橋長113mの鋼床版箱桁を1スパンで飛ばすというのは中々ありませんが、なぜ中間橋脚を立てずにこれほどの長大径間を飛ばすのですか

 松居 架設は中間にベントを立てて一括送り出しで行う予定です。ただ、管内では登米志津川道路の新米谷大橋(橋長522m、4径間連続鋼床版箱桁橋、116+144+144+116m)で同様の施工を行っており、連続桁としてですが経験はあります。

 ――新しい小泉大橋

 松居 流された小泉大橋(182.1m)と外尾川橋(59.8m)があった箇所に桁下クリアランスを上げて東日本大震災相当の津波が襲っても流失しないように建設しています。橋長455mの鋼7径間連続箱桁橋です。仮橋は震災後100日強で供用し、架け替え橋も上部工の架設までを完了し、現在は床版工を施工しています。


小泉大橋(津谷川橋のたもとから眺望、井手迫瑞樹撮影)