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インタビュー詳細

白鳥大橋補修も佳境 室蘭新道耐候性鋼材橋を補修

室蘭開建 台風10号復旧、日高自動車で大型構造物が進捗

国土交通省
北海道開発局
室蘭開発建設部長
平野 令緒 氏

 室蘭開発建設部管内では、昨年に襲来した台風10号などによる豪雨水害により国道274号日勝峠が大きな被害を受けた。その復旧を最優先に取り組み、官民挙げて厳冬の施工もいとわず作業を進めた結果、10月には仮復旧を実現している。一方で本復旧はこれから橋梁の架け替えが進んでいるが、架け替え橋は河川増水に伴う洗掘等の被災形態を考慮して基礎形式や護岸工等の見直しを行い、フーチングの根入れを十分確保し、地質調査に基づいて杭基礎形式を選定している。また、北海道で設定した河川計画断面を確保するとともに、被災時の流量を満足するよう桁高の見直しを行うなど水害の知見を取り入れている。その話題を中心に直轄唯一の吊橋である白鳥大橋のリニューアルや室蘭新道の耐候性鋼材橋の補修、日高自動車道の大規模橋梁・トンネルなどの構造物、塩害対策などについて平野令緒部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


 ――室蘭開発建設部管内の地勢的特徴と道路の整備方針の考え方から

 平野部長 室蘭開発建設部は、北海道の南西部に位置し、日高及び胆振地方の4市14町からなる区域を管轄しています。管内は、西は豊浦町礼文華から東は襟裳岬を超えてえりも町目黒まで、海岸線延長387kmに渡って東西に非常に長くかつ太平洋と面しており、この長さが管理上の大きな課題となっています。管内には大きな都市として室蘭・苫小牧市、観光地として登別温泉や洞爺湖を有するほか、馬産地として名高い日高を含んでいます。

 当建設部では、治水、道路、港湾整備、水産基盤整備、農業農村整備事業を進めており、道路事業では、国道36号をはじめとする11路線、延長689.0km(内、日高自動車道延長41.3km)を管理しています。

 道路の整備方針については、新たな第8期北海道総合開発計画の着実な推進に向けて、主要施策である「人が輝く地域社会の形成」を重点事項とし、北海道の強みである「食」や「観光」関連分野などにおける成長・活性化、国土強靭化等に資するストック効果の高い生産基盤、物流・人流基盤、生活基盤等の社会基盤の整備などに基づき進めていきます。

 ――先の台風による被害状況と復旧状況を教えてください

 平野 昨年8月に、観測史上初めて北海道に3つの台風が上陸し、日勝峠においても連続雨量が488mmと観測史上最大値を観測しました。

 その影響により、日勝峠の日高町千栄~清水町清水間の延長43km区間において、落橋などによる橋梁損傷10箇所、覆道損傷3箇所、道路本体の損傷6箇所、その他47箇所、合計66箇所と日勝峠全線に亘り甚大な被害を受けました。

被災した盛土や覆道(国土交通省北海道開発局提供、以下注釈なきは同)


橋桁が流失した千呂露橋


同様に被災したニセクシュマナイ橋


岩瀬橋も被災した

 被災直後から現地調査、測量、設計を行い、昨年秋ごろには擁壁工事に着手する等、早期復旧に努めてきたところです。

 今年度の工事では、河川洗掘により被災した擁壁や護岸の復旧、崩壊した路体の盛土や法面の復旧、覆道の補修・復旧のほか、千呂路橋をはじめとする橋梁の下部工および上部工工事、そして舗装工事を行っています。各建設会社の皆様には冬季の施工も頑張ってもらい、早期復旧に尽力していただきました。

 復旧方法においては、再度災害防止の観点から、有識者の意見を伺いながら、今回の被災時流量を満足するような擁壁の高さ、橋梁の延長および高さの見直しや土石流対策、排水設備の強化などを行っています。

 おかげさまで10月末に復旧させることができました。


日勝峠 室蘭側8合目切土崩壊、盛土崩壊、土砂流出 災害復旧進捗状況



清瀬覆道の災害復旧状況


 ――災害復旧の詳細について、今回の水害でどういうところを改善したか教えてください。擁壁の高さ、橋梁延長や、盛り土の強靱化など、具体的な諸元で教えて欲しいのですが

 平野 構造物の設計にあたっては①被災時流量を対象に設計し、必要な箇所では流された旧橋より新橋については洗掘等の被災形態を考慮して基礎形式や護岸工等の見直しを行い、フーチングの根入れを十分確保し、地質調査に基づいて杭基礎形式を選定しています。また、北海道で設定した河川計画断面を確保するとともに、被災時の流量を満足するよう桁高の見直しを行うなど再度災害防止の検討を行っています。また②擁壁の高さ・設置延長の見直し、③擁壁形式を重力式から逆T式に変更等を行いました。


基礎杭を積極採用している(当サイト既掲載資料より抜粋)

 具体な例として、千呂露橋については 旧橋83.80mから新橋は120.90mと長くしております。


仮橋復旧した千呂露橋


 ――橋梁について今回の災害では直接基礎の橋梁が流されています。耐震的には問題が無い基礎でも、水が入ると脆くなる地層もあります。そのような事態に対応するためなにか対応していることはありませんか

 平野 そのようなことがあることは理解しています。ただ、直接基礎形式が問題であるのではなく、架橋位置の地形条件等を考慮した調査計画が重要であると思います。そのため、今回、復旧する橋梁では先に述べましたとおり、再度災害防止の観点から、基礎形式や護岸の見直し及び被災時流量を満足するような桁高としました。特に(日勝峠道路を流れる沙流川のような)上流は急流であることから洗掘に対する対策はこれから非常に大事になっていくと思います。

 ――北海道は冬期施工が厳しい環境なので、そのへんの苦労話はありますか。特にコンクリ-トの養生について早期劣化しないよう品質を含めて頑張った話などがあれば示してください

 平野 日勝峠道路は、北海道の中でも冬期の気象条件(特に気温)が厳しい環境となっています。そのためコンクリートの打設にあたっては、仮囲いの設置、囲い内の温度管理に留意しました。囲い方法や温度管理については仕様書に基づくものです。