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インタビュー詳細

目標は3年間で売上50億円達成

片平新日本技研 社長インタビュー 事業領域の拡大を推進

株式会社片平新日本技研
代表取締役社長
中村 正人 氏

 新会社「片平新日本技研」は、道路分野のコンサルタント事業を主力とする片平エンジニアリングと、橋梁の設計、点検に強みをもつ新日本技研が合併して誕生した。道路と橋梁の新設事業が減少傾向にあるなかで、新会社が目指す方向性を中村正人社長に聞いた。(大柴功治)


保全事業や施工管理、PPPなどの分野を伸ばし

交通インフラ総合コンサルタントを目指す

 ――8月1日に片平エンジニアリングと新日本技研が合併して新たに片平新日本技研が発足しましたが、その狙いはどこにありますか

 中村社長 片平エンジニアリングは長年、日本道路公団時代を含めたNEXCOを中心として主に道路計画のコンサルタント業務を受注してきました。最近では、グループ会社である片平エンジニアリングインターナショナル(KEI)との連携強化で海外での建設コンサルタント業務も着実に伸びています。一方で、新日本技研は国土交通省を中心に橋梁設計業務に強みを有しています。両社とも50年の歴史を有しており、技術的ないし人材的な蓄積も非常に大きいものがあります。また、営業拠点での重なりもありません。両社が合併することで、互いの足りない分野を補い合い、新設事業が減っていくなかで、保全事業や施工管理、PPP、 PFIなどの分野を伸ばし、交通インフラにおける総合コンサルタントを目指していこうと考え、合併に至りました。合併の議論は1年ほど前から行い、3月1日には株式の持ち合いを果たしたほか、人的交流も行っていたので、新会社への移行はスムーズに進んだと思います。

 ――両社の人員と売り上げ状況は

 中村 旧片平エンジニアリングの社員数は150人で、旧新日本技研が55人でしたので、合併後は205人の組織になりました。2016年度の売上は、旧片平エンジニアリングが約25億円、旧新日本技研が約7億円ですので、合計すると約32億円です。これとは別にグループ会社のKEIの売上が50億円前後となっています。



(左)旧片平エンジニアリングの売上推移 (右)旧新日本技研の売上推移


 両社合わせたセグメント別売上では調査・設計部門が約12.5億円、技術管理部門が約12.5億円、橋梁が約7億円、残りがその他となっています。

 今後は、仙台や広島など片平エンジニアリングが有していなかった拠点も増えますし、相乗効果も期待できますから売上増を期待しています。中期経営計画では毎年5%増としていますが、社長としては3年間で売上50億円を目標にしています。そうした目標を達成するため、5つの基本方針を制定しています。



営業拠点は、本社・5支店・18営業所となる


人材、技術力、組織力の強化とともに

売上管理から利益管理への転換で体力のある会社に

 ――5つの方針とは

 中村 ①人材の強化、②技術力の強化、③組織力の強化、④健全な財務、⑤事業領域の拡大――です。

 ①については社員教育の充実を図り、技術部門、一般管理部門ともに体系的な教育を行い、「個」のスキルアップを実施します。また外部講習を積極的に活用するとともに、教育コストについても予算化し、会社が負担します。

 ②はすでに3DレーザースキャナーやUAV(ドローン)、ETC2.0解析システム、神戸大学との共同研究で路面表示による車両動静の効果を明らかにすることによる安全対策、東京農業大学、NEXCO東日本との共同研究による路面状況を把握し、基準値を設けることで舗装を維持管理するシステム――などに先行投資しています。今後はスマートフォンのWiFiバケットを利用した経路解析システムやCIM関連システム、3方向加速度測定可能なビデオ画像・キロポスト連動システム(ビデオ画像とGPSによる座標を紐付けて道路構造物を特定するシステム)などの開発を進めています。



JCT設計図をVR化したイメージ画像


 ③は会社の持続的成長を確保するための取り組みともいえます。コンサルタントは「従業員そのもの」が資本です。効率よく業務を遂行するためには、従業員の健康を守らなければなりません。そのため、人員配置を工夫したり、ノー残業デーには定時後留守番電話に切り替えるなどして、残業の削減を目指します。また有給休暇取得計画の立案と実行を行うほか、育児期(あるいは要介護を家族にもつ)社員が働きやすいように時短勤務など柔軟な就労スタイルにも取り組みます。また、女性やチャレンジド(障がいを有する方など)の方々が働きやすいように、社員からアイデアを募ってオフィス環境を改善することも行っていきます。

 ④は会社にとって死活的重要な分野です。売上管理から利益管理への転換を進めて、剰余金の累積を図り、自己資金運営を行っていきます。それにより、主導権をもってさらなる技術開発を行い、アドバンテージを発揮していくことで利益を伸ばす好循環を構築していきたいと考えています。

 ⑤では、まず、片平エンジニアリングと新日本技研の従来業務を補完し合うことがとても重要になります。現在、橋梁設計のみなどの単独発注はほとんどありません。交通量調査を行い、橋とアプローチ道路を一括で設計する業務などが主流です。両社が一緒になることはそうした業務を受注するチャンスが増えることにほかなりません。さらに現在の入札制度はさまざまで過去の表彰や点数が受注を左右します。両社の長所はそうした課題も補い合えます。とりわけ成長が期待できる保全は、橋梁と法面・自然斜面および舗装ですが、橋梁が強い新日本技研と一緒になったことは、保全分野を強化する意味においても相乗効果が期待できます。また、NEXCO3社は15年かけて大規模更新・大規模修繕事業を行っていますが、これは維持補修だけではなく、施工時の交通運用を考慮した施工手順・交通規制を計画した上で現場に入らなければなりません。PR・広報まで含めた対策が必要ですが、当社は交通計画の部隊もあります。そうした強みを生かして、発注者に提案していくことが、当社には望まれていると思います。


PPP事業に積極的に参画

 設計・施工管理一体業務も受注

 ――すでに取り組んでいる事業領域の拡大は

 中村 合併以前から取り組んでいる事業領域の拡大施策としてはおもに3つあります。ひとつめはPPP事業で、前職の日本道路公団時代に仙台にいたことがあり、東北の復興に役に立ちたい思いもあって、三陸沿岸道路事業促進PPP業務に参画しました。その後、横浜国道事務所、熊本河川国道事務所の事業促進PPP業務にも参画しています。社員にとっては、現場で発注者と一緒に仕事を進めるので、事業の進め方や醍醐味を知る経験になると思います。

 ふたつめは、まちづくり部署の新設です。空き家問題やバイパス道路で日本中が同じ風景になることに寂しさを感じています。少しでも良い街を造りたいという思いがあります。また、入社してくる人材には土木だけでなく景観や環境を専攻した人も多く、それを活かすこともできます。もちろん最終的には構造物を設計できるように育てますが、入社した際に仕事のしやすい導入口としても有効です。

 同部署が携わった案件としては、上野駅上野恩賜公園口(事業中)や小田原漁港を中心としたまちづくり、二宮駅北口駅前広場整備(両案件とも業務完了)があります。現在は、さがみ野駅の駅前周辺整備の依頼が来ています。まちづくり整備のなかには当然道路があります、道路や構造物、交通計画なども含めて当社で一括して受注していきたいと考えています。



(左)上野駅上野恩賜公園口 (右)小田原漁港


 3つめは、コンセッション事業への参画です。愛知道路コンセッション会社が運営している知多半島道路の下り線側に位置する大府PAの設計に携わっています。知多半島道路の愛知県道路公社から愛知道路コンセッション会社の請負期間は30年間で、こうした事業も今後の増加が期待され、いち早く知見を得ることは重要であると考えています。

 ――ほかの現在の事業としては

 中村 NEXCO西日本久留米高速道路事務所からロッキングピアの耐震補強を受注しています。これは、NEXCOとしては初発注となった設計・施工管理一体業務です。また、常磐自動車道4車線化の全線設計と福島県区間(いわき中央IC~広野IC)の施工管理を行っています。福島県区間は橋梁とトンネルが多いことから、旧新日本技研の構造部隊にも行ってもらい、合併の相乗効果が出ています。新設橋では、国土交通省中国地方整備局山口河川国道事務所の小瀬川橋(岩国大竹道路)、同福山河川国道事務所の内畠高架橋(木原道路)などの詳細設計を行っています。