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インタビュー詳細

2017年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑩IHIインフラシステム

保全・改修・海外にシフト 人材確保と育成を重視

株式会社IHIインフラシステム
代表取締役社長
川上 剛司 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。最終回となる第6回目は、IHIインフラシステムの川上剛司社長の記事を掲載する。


 ――業界の状況は

 川上 今年の国内新設鋼製橋梁の発注数は昨年より少し持ち直し、20万t超えが見込まれるが、2020年の東京五輪を境に中長期的には減少が予想される。

 一方で鋼橋の従来保全と大規模修繕・更新工事は現状で2,500億円の市場規模があり、10年後には約3,500億円までの伸びが予想される。 

 国内の水門事業で、当社がこれまで受注していたのはほとんどが大規模工事だったが、今後は、中小規模工事でいかに採算性を確保するかを検討している。

 ――2016年度業績は

 川上 売上高総額は427億円、国内橋梁が227億円、水門が60億円、制振装置や合成床版、裏面吸音板などを取り扱うエンジニアリングが25億円だった。当社は海外部門の占める割合が同業他社と比べて大きく、昨年度はイズミット湾横断橋の売上高が94億円、その他の工事で21億円の合計115億円となっている。

 ――今年の業績見通しは

 川上 目標受注額は、国内橋梁で320億円、水門事業は約100億円、合計420億円を予想している。

 主な案件としては東北地方整備局発注の気仙沼湾横断橋(斜張橋)をJFEエンジニアリング・IHIインフラシステム・日本ファブテックの3社JVで受注した。昨今、国内では長大橋建設に携わる機会が減っており、同工事に携わることはエンジニアの育成にも大きく寄与するだろう。

 水門事業では、八ツ場ダムの2期工事を受注した。その他、東北や中部地区で管理システムの案件などを受注している。

 海外事業では、今年度売上高は50億円、新規受注で150億円程度を見込んでいる。現在進行中の主な工事では、鋼橋ではトルコやベトナム、インドのほか、バングラデシュ、PC橋ではミャンマーの工事、水門ではラオスの工事がある。

 全体の売上高では、デバイスなどその他を含めて480億円を予想している。



国道45号 気仙大橋上部工工事


 ――設備投資計画は

 川上 今年度は約10億円、現場工事に使用する機材関係や部分的な更新を進めている。また、来年度以降には、市場拡大が見込める鈑桁の半自動設備など、生産性向上のための設備投資で順次整えていく。

 そのほか、ICT化のため、生産情報システムの再構築を軸に3D図面の現場活用などのシステムを構築中だ。これらにより、コスト削減と人的リソースの他部門へのシフトを進める。

 そのほか、ミャンマーの関連会社I&HのPC桁生産ラインの設備投資を実施し、海外での製品・サービス供給体制の充実を図るなど、アジアを中心に海外での受注状況や工事案件に応じた設備投資を実施する。

 ――現在の課題は

 川上 今後10年の目標として、国内での新設橋梁の確保、保全事業の売り上げ拡大に併せて海外事業も5~10年後に同規模となるように事業展開を進めるためには、人材の育成がもっとも重要となる。

 保全および海外の事業展開に向けて人材のシフトが必要だ。外部からの採用も進めていくが、社内からの最適配置やIHIグループからの異動を進める。少子高齢化が進み、労働者人口、特にエンジニアの数も減少しているので、この人材の確保・育成が重要な課題である。

 今後、政府の財政が厳しくなっていくなかで、契約方式も一括発注や上下部工一括施工、デザインビルド方式などが増えはじめ、まとまった大きな規模の仕事となるので、大規模工事に対するマネジメントをしっかりできる人材を育てていく必要がある。契約方法や工事の内容も複雑かつ総合的に対応できるエンジニアを育てていくべきであると考えている。

 また、「働き方改革」への対応として現場での週休2日制導入や若手および女性エンジニアの現場配置も進めていく。

 システムとしては、ICT技術を工場のみで活用するだけでなく、現場でも導入を積極的に進めている。特に水門事業では遠隔監視や津波発生時の自動閉鎖システムなどの水管理事業に今後は力を注ぐ。(聞き手=佐藤直人 文中敬称略)