HOMEインタビュー一覧「宮地i-Bridge」の構築へ 総合エンジニア力の向上を

インタビュー詳細

2017年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑧宮地エンジニアリング

「宮地i-Bridge」の構築へ 総合エンジニア力の向上を

宮地エンジニアリング株式会社
代表取締役社長
青田 重利 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第5回目は、宮地エンジニアリングの青田重利社長と高田機工の寳角正明社長の記事を掲載する。


 ――前年度の業績についてお伺いします

 青田 グループ全体の受注高は554億円で前年度比約80億円の増加となった。目標の405億円を大きく上回った。売上高は362億円で、営業利益25億円、経常利益は26億円、最終的な純利益が21億円と、減収増益となった。また、受注残は約760億円と約2年分近い受注量となり、エム・エムブリッジのグループ化によるシナジーとJRや民間鉄道分野での難易度の高い軌道桁架設などで高評価を得て、受注に貢献したことが大きい。

 ――今年度の業績目標は

 青田 今年度はグループ全体で売上480億円、営業利益、経常利益ともに16億円、純利益は11億円を目標としてスタートしたが、各工事がおおむね順調に進捗していることに加え、一部大型工事において採算性が改善したことから売上490億円、営業利益、経常利益ともに26億円、純利益は16億円に上方修正した。

 業績目標は、数字的にはすでに18年度までの中期経営計画の目標を達成した形となったが、内在する経営課題に対して4つの委員会を立ち上げ、持続的な成長に向けて取り組んでいる。

 ――具体的には

 青田 需要が高まりつつある保全事業は、工事内容によって高・中・低難度に棲み分けられる。当社の役割・使命は国交省や高速道路会社の大規模更新・修繕やJRをはじめとした鉄道関連の高難度工事にあると考えている。高難度あるいは大規模な保全事業では、技術開発を伴った客先への積極的な技術提案が求められ、幅広い技術提案ができるようにPC会社や補修会社と一昨年から継続して勉強会を実施している。

 70万橋といわれている既設橋梁の保全事業はメタルだけの技術では成り立たない。PCも下部工も含めた総合エンジニアリング力が必要となっており、そこへ脱皮しなければならない。個社だけでそれができなければ、アライアンスを組むという選択肢もある。そういう意味で共存共栄の時代に入ってきている。



養老ジャンクション本線橋(国土交通省 中部地方整備局)


 ――人材の確保・育成は

 青田 企業経営を維持するためには、技術開発、人材確保、財務基盤強化の3つの課題について、ある程度余裕があるときに投資することが重要となる。

 人材の確保については、「在宅介護に伴う再雇用を前提とする退職制度」を導入した。少子高齢化社会において、介護対策は、国民共通の喫緊の課題といえる。マクロ的には労働人口減少などで雇用はタイトになっていくことが予想され、社員一人ひとりの働き方を考えて対応しなければ、企業業績の安定・向上は難しくなっていることから導入を決定した。この制度は、在宅介護を理由としてやむを得ず退職した社員が介護の必要が消失し、再雇用を希望した場合に再雇用するもの。再雇用時の賃金は、退職時相当額を保障し、同制度利用者が介護に専念できるように、退職期間中の在宅での会社業務の請負契約により同制度利用者の生活を経済的に支援し、併せて会社の生産低下を防止するのが狙い。

 昨今、働き方改革の一環として、現場の週休二日制の導入が話題となっている。これを実施する場合、生産性を向上させるとともに、残業が減っても同じ年収が確保できることにしないと意味がない。

 それを担保するのが業務の効率化であり、i-Constructionの推進でありi-Bridgeの構築である。特にi-Bridgeについては右へならえ的でなく独自の「宮地i-Bridge」を構築しなければならないと考えている。

 ――その他には

 青田 女性活躍推進法に基づく女性の活躍を継続的に推進していく。当社では女性溶接工も活躍しており、今後とも事務職・技術職だけでなく女性技能員の採用も積極的に行う。

 また、若い人たちが入社しやすい環境をつくることが重要で、人材確保に関しては事情があって途中退職した若手社員が後日当社への入社を再度希望した場合の雇用制度の導入などの準備を進めている。

 松本工場跡地など社有地の有効活用に関しては、松本工場跡地は市民病院建設用地として松本市に売却する方向で、残りの遊休地も売却の方向で検討を進めており、持続的成長のための設備、人材への投資と研究開発への財源とする考えである。(聞き手・佐藤岳彦 文中敬称略)