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インタビュー詳細

2017年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑦日本鉄塔工業

鉄塔長寿命化技術の向上図る 提案・提供する総合エンジ企業に

日本鉄塔工業株式会社
代表取締役社長
有田 陽一 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第4回目は、日立造船の嶋宗和執行役員と日本鉄塔工業の有田陽一社長の記事を掲載する。


 ――業界を取り巻く環境・現状について

 有田 今年7月の福岡県と大分県を中心とする九州北部豪雨で被災された方々のご苦労とご心痛に心からお見舞い申し上げます。

 業界を取り巻く環境・現状については、当社の主力事業である鉄塔・橋梁事業のうち、鉄塔については、電力広域的運営推進機関が連系強化に向けた計画を発表しており、広域系統整備計画が動き始めた。

 2020年に予定される送配電部門の分離に向けた電力会社の動きは今後も注視していく必要がある。

 橋梁は、国内鋼道路橋の昨年度総発注量が20万tを切った。50万tを下回った2007年度以来漸減しており、今年度も20万tくらいの見通しである。

 新設橋梁が減少する中、工場見学などを通してまずは地元のお客様に鋼橋の利点を知っていただけるよう、鋼橋ファブの一員として微力ながら、活動を行っている。

 ――2016年度の業績は

 有田 2016年度の業績は、鉄塔製作が受注高・売上高とも計画を下回り、鉄塔エンジニアリングのそれは、計画を若干上回った。

 大型の案件としては、昨年9月に防衛省南関東防衛局御前崎(28)鉄塔新設工事(341t)を受注した。完成工事として東大阪都市清掃組合の新ゴミ処理施設のモニュメントを北海鉄工所との協力体制で製作した。このモニュメントは、2019年に日本で初めて開催されるラグビーワールドカップの開催地に花園ラグビー場が選ばれたことにちなみ、ラグビーボールの形をしたモニュメントとなっている。



東大阪都市清掃施設組合モニュメント(撮影:北海鉄工所)


 橋梁の受注高は、ほぼ計画とおりの結果であった。

 会社全体としては、受注高は前年度を下回ったが、売上高は前年度をわずかに上回った。営業利益は前年度に続き増益を達成している。

 ――2017年度の需要環境見通しと業績目標は

 有田 2017年度の鉄塔は、九州電力殿の日向幹線により、工場稼動の下支えになる数量は確保している。太陽光発電関連製品は減少傾向にあるが、東京五輪関連の鉄構などの受注拡大を見込んで、鉄塔部門合計では、昨年度と同水準の受注を計画している。

 橋梁では、熊本地震復旧工事として、九州自動車道木山川橋が、本年4月28日に4車線完全復旧して全線開通した。この復旧工事を通して知り得た知見や企業の結びつきをもとに、今後のメンテナンス業務につなげていきたい。

 会社全体での売上げは、昨年の売上げ実績以上を計画している。



早津江川橋 スプリンギング部仮組み


 ――2017年度の設備投資計画、新分野進出、新技術開発などは

 有田 2017年度の設備投資計画は、工場の生産設備の予防保全や情報機器設備の更新を中心に実施するが、工場の生産性・品質の向上、エネルギー利用効率化を図る目的でIoT研究会を立ち上げた。

 当社の独自技術である送電鉄塔等に関する点検、強度検討設計、補修、補強、部材取替工法等のほか、「NT―鋼構造物の長寿命化システム」など、鉄塔長寿命化技術のさらなる向上を図っていきたい。

 橋梁のメンテナンス分野では、阪神高速道路で施工実績がある低騒音伸縮装置撤去工法が、首都高速道路池袋線熊野町ジャンクションリニューアル工事の一環で採用され、今年5月に完了し首都高速道路プロジェクト本部長から6月に感謝状をたまわった。

 高度成長期に建設された鉄塔や橋梁などのインフラのメンテナンスの重要性が高まるなか、当社は、『今日を創り、未来へ「継なぐ」。プロダクト&メンテナンス』を掲げて、メーカーという意識から、設計製作からメンテナンスまで、インフラ・サービス全体を提案・提供する総合エンジニアリング企業へと変身中。2022年には創業100周年を迎えるので、昨年ロゴマークをリニューアルした。100周年事業の一環として、北九州若松工場内の事務所棟を建て替える計画である。

 政府が主導する「働き方改革」に関して、当社は積極的に推進しており、前年度に有期雇用から無期雇用への登用制度の導入・実施などその成果が認められ、北九州市ワーク・ライフ・バランス表彰の企業・団体部門で市長賞を受賞した。(聞き手・大熊稔 文中・敬称略)