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インタビュー詳細

2775橋を管理。LCCも考慮した長期的な視野での保全に取り組む

埼玉県 上武大橋などの架け替え事業を進める

埼玉県
県土整備部長
西成 秀幸 氏

 埼玉県は首都圏の中央に位置し、人口が全国5位の約727万人で人口増加率も全国3位となっている。外環道と圏央道が他県に先駆けて整備されたことにより、経済産業分野に大きな効果をもたらしたが、混雑時の平均旅行速度が全国ワースト4位とさらなる道路ネットワークの強化が期待されている。一方、保全では今後20年で供用50年を経過する橋梁が8割に達することから、計画的な対策が必要だ。そうした道路の整備と保全への取り組みについて同県県土整備部長の西成秀幸氏に聞いた。


高速道路網の整備で企業立地が進む

 県内総生産は平成15~25年度で7,675億円増加

 ――埼玉県の概要からお教えください

 西成県土整備部長 埼玉県は、東西に約103km、南北に約52km、面積が3,800k㎡で、東京都、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県、山梨県、長野県と接する内陸県となります。おもに県北側は利根川、東側は江戸川が県境となっていて、中央部に荒川が流れています。西部が秩父山地となっていて、それ以外は平地です。

 人口は約727万人(平成27年現在)で、今後減少していくと推測されていますが、流入人口が多く、人口増加率で全国3位となっています。15歳~64歳の生産年齢人口の割合は62.5%で全国4位です。

 ――道路網の現状は

 西成 縦方向に関越道、東北道、常磐道の3放射線があり、横方向に外環道、圏央道の環状線があります。外環道、圏央道ともに他県と比べていち早く整備されましたので、圏央道の沿線では工場や物流関係などの企業立地が進み、平成17年1月から29年3月までに919件の企業が県内に立地しました。平成15年度から25年度の県内総生産も7,675億円の増加で、増加額では全国2位となっています。

 圏央道が東名高速から東関道まで接続し、外環道の三郷南IC~高谷JCT(千葉県)も今年度に開通予定です。さらに、首都高速埼玉大宮線の延伸部分の新大宮上尾道路(与野JCT~上尾南IC、延長8km)が国の事業として事業化されました。約2,000億円の事業で、完成すると県中央部に高速道路が通り、将来的には圏央道までつながる予定です。外環道、圏央道とあわせて、格子状の高速道路ネットワークが充実することで、今後さらに県の潜在能力が向上していくと思います。


選択と集中による道路整備

 3分の1の事業箇所に3分の2の事業予算を投入

 ――県単独の道路整備の方針と課題は

 西成 高速道路を補完する道路ネットワークの強化が必要だと考えています。国県道の混雑時の平均旅行速度が21.5km/hで、東京都、大阪府、神奈川県に次いで全国ワースト4位となっています。道路網はかなり整備されてきましたが、まだ整備の必要性は高いと認識しています。

 道路整備の方針として、ストック効果の高い社会資本を中心とした、将来につながる投資を重点的に実施していきます。そのため、限られた予算のなかで選択と集中を行い、全体の3分の1となる重点整備箇所に3分の2の予算を投入してメリハリとスピード感のある道路整備を行っているところです。平成33年度末までの埼玉県5カ年計画では、整備中箇所の混雑時平均旅行速度を26.8km/hから34.3km/hに高めることと、県管理道路の整備延長を現状の1,642.1kmから1,702.1kmに伸ばすことを目標にしています。



主要な道路整備事業


 そのような方針と目標に基づいた取り組みとして、「インターアクセス道路整備」「隣接都県との道路ネットワーク強化」「国際スポーツ大会、観光振興」「バイパス整備、多車線化」の事業を行っています。

 ――それぞれの取り組みについてお教えください

 西成 圏央道の整備に合わせて企業立地が促進されましたが、高速道路のインターチェンジから20分程度の距離でないとなかなか企業立地をしていただけないことがあります。「インターアクセス道路整備」では、企業の予定を立てやすくするために開通目標年度を事前に公表し、高速道路のインターチェンジと産業団地などを結ぶアクセス道路を整備しています。「魅力UP! 時間が見えるインターアクセス道路整備」として、現在5路線5箇所を重点的に整備中です。

「隣接都県との道路ネットワーク強化」では、地域の発展を支えるとともに、大規模災害時の広域的な連携強化を図るため、交通量の多い都県境の道路をはじめとした隣接都県と接続する6路線7箇所を重点的に整備しています。

「国際スポーツ大会、観光振興」では、6路線6箇所を整備中です。2019年のラグビーワールドカップでは熊谷市が会場になり、20年の東京オリンピック・パラリンピックでは、バスケットボール、サッカー、ゴルフ、射撃の4種目が県内で開催されます。オリンピックは基本的に既存の道路を活用して公共交通機関を利用していただくことを想定していますが、ラグビーワールドカップでは、熊谷市内の交通渋滞が予想されるので、パークアンドライドを取り入れることを考えていて、その輸送路となる4路線について整備を進めています。

 観光客の多い川越市と秩父市では、2路線で道路の拡幅と美装化、電柱の地中化を行い、観光客の誘致を図っていきます。その2路線は「おもてなしロード」として、オリンピックまでに整備を終わらせる予定です。

「バイパス整備、多車線化」では、道路の持つ機能を最大限に発揮できる道路ネットワークを構築するため、未接続箇所の解消や4車線化などを15路線16箇所で進めています。



2019年「ラグビーワールドカップ」に備えての熊谷市内の道路整備


川越市と秩父市の「おもてなしロード」整備


 ――埼玉県の場合、南北は路線が充実しています。東西も外環道、圏央道はありますが、それ以外のネットワークの整備はいかがでしょうか

 西成 秩父地域については地域高規格道路の西関東連絡道路が横方向の道路としてありますが、県南は横方向のネットワークが弱いというのは実態としてあります。そのなかで、越谷野田線などの整備を重点的に進めています。また、大河川の荒川が中央部に流れていますので、渡河部で渋滞が発生している現状があります。