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インタビュー詳細

2017年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ①川田工業

秋以降は繁忙期に突入へ 五輪後もしばらくは鉄骨需要堅調

川田工業株式会社
代表取締役社長
川田 忠裕 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第1回目は、川田工業の川田忠裕社長と駒井ハルテックの田中進社長の記事を掲載する。


 ――まず、昨年度の現況についてお伺いします

 川田 橋梁、建築鉄骨を扱う鋼構造事業、さらに建築事業でも、当社の主力事業全てで、売上・収益面で前年度を大幅に上回ることができた。

 ――今年度の状況については

 川田 今年度は、すでに材料費や労務費、外注費などが高騰しつつあるなど、事業環境に変化が見られる。

 ――建築鉄骨については

 川田 大規模物件が動き出してきた。製作に関しては、それに伴い、工場稼働率が上がり始め、9月あたりから繁忙状態に突入し、来年の4月ごろまでこの状態が続くとみている。

 ただ、相変わらず、設計変更が多いことから、図面の決定に時間がかかっている。最大の悩みといえる。昨年10月から製作の工期・工程の厳守を図るため、マスター工程表に基づいて作成した鉄骨製作の工程表を、設計事務所、ゼネコンとファブ各社が合意する方法を当社でも運用している。鉄建協による陳情活動でも大きな要望の一つにあげられており、共通認識化が進んではいるが、継続して取組みを続ける必要がある課題といえる。

 ――この先の需要は

 川田 設計事務所やゼネコンとの打ち合わせでは、東京五輪需要の後も、急激に需要が低下することはないと聞いている。五輪後もある程度の規模が維持されるのではないかとみている。

 首都圏をみると、今までも大規模物件が多々あったが、それを上回るような1物件で10万㌧を超える超大型案件が出件してきている。常盤橋プロジェクトなど五輪後も継続する超大型物件をはじめ、麻布台、東京駅周辺の大手町や八重洲界隈、日本橋地区など大型再開発プロジェクトが始動する。さらに、渋谷、浜松町、品川地区でも大規模物件が動き出すなど、東京五輪後に竣工する計画がある。

 ただ、全国規模では、まだみえてこない。しかし、首都圏を中心に、五輪後も需要がみえており、ある程度の先までみえている市場はありがたいと感じている。



(仮称)新日比谷プロジェクト新築工事(東京都)


 ――橋梁分野は

 川田 昨年度の鋼橋の発注量は約20万㌧と、対前年度比14・8%減となった。

 新設橋梁については引き続き、受注競争の厳しい状況が続くであろう。発注量に関しては、横ばいから緩やかな減少傾向が続くとみられ、今年度もトータル20万㌧前後で推移するとみている。引き続きトップクラスの受注を目指していく。

 一方、橋梁の老朽化に伴う大規模修繕・改修、床版取替を中心とした工事が増加傾向にあり、当社としても注力していく。ただ、これらの工事は現場施工が中心であり、これに対応できる十分な人材を確保する必要がある。グループ企業の川田建設との技術協力などを含め効率的に進めていく。



豆谷橋梁(施工場所:富山県)



出合ゆず大橋(施工場所:徳島県) 写真提供:那賀町役場


 ――設備投資については

 川田 急増する鉄骨需要に対応するために、栃木工場では昨年からビルドボックスの生産効率強化を図っている。ボックス製作ライン用に新しい建屋を建設、ラインを移設している最中。今年度中には完成する予定。

 このほか、富山工場や四国工場でそれぞれ新しい業務棟を建設中で、事務業務面での生産性向上を図る投資を実施している。

 ――その他の分野は

 川田 システム建築をメインの事業として取り組んでいる建築事業も好調。システム建築は、ある程度ボリュームが大きいものが主体だが、短工期、フレキブルな設計対応から順調に受注を伸ばしている。今年度の受注も、2~3年前に比べるとはるかに良くなると見込んでいる。

 屋上緑化システムは、富山県立美術館の屋上に3,000平方㍍採用されるなど、着実に実績を伸ばしている。

 また、川田テクノロジーズとしての取り組みになるが、NEDOのインフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクトのインフラ維持管理用ロボット技術・非破壊検査装置開発に採択された「マルチコプタを利用した橋梁点検システムの研究開発」が、今年度で最終年度、実用化に向けた実証試験を行っている段階。今後、ドローンを応用した3次元測量分野なども視野に研究開発を進めていく。

 さらに、ロボットで培ったノウハウを本業へ応用展開する方法についてグループの技術者が集まり協議を開始している。(聞き手・佐藤岳彦、文中敬称略)