トンネル補修は設計段階
30年から順次施工開始予定
――トンネルの維持管理についてですが、札幌市の場合、トンネル数は少ないですね
渡辺 1,612mの盤渓北ノ沢トンネルが一番長いトンネルとなっています。管理数は16箇所で、矢板が6、NATMが3、開削が7の内訳です。
トンネル一覧(札幌市管理分) 29年3月時点
――最近、矢板工法で水の問題や、道路軸方面のひび割れが出てきていた場合での地山の問題が出ている、という話を聞きました。札幌市でのトンネルの損傷状況は
渡辺 トンネルごとの点検をやっていますが、矢板は全体的なひび割れ、うき、はく離、全体的な漏水という状況です。NATMでは目地部のひび割れ、うき、はく離があり、開削は全体的なひび割れ、部分的なうき、ひび割れとなります。ひび割れは、目地方向と直角方向両方に発生しています。
今後、点検結果に基づいて補修を行っていきますが、29年は実施設計に入る段階で実際の施工は30年から順番に開始する予定です。
災害に備え、のり面対策必要
点検調査、補修の計画づくりを行う
――昨年の台風10号の大規模水害もあり、のり面に対しての自治体の関心が高まってきました。のり面崩落で道路が寸断されると、地域が孤立するので、落橋防止対策もあるが、むしろ力を入れるのはのり面かもしれないと言っている自治体もあります。札幌市には橋梁とトンネルのしっかりとした長寿命化補修計画がありますが、のり面や自然斜面に関しては、その対策をどのように考えていますか
渡辺 今後、国から策定されると思われる点検要領などに基づいて、点検をしっかり実施して、その後に補修計画を策定していきたいと考えています。札幌市の場合、のり面が長大的に崩れたことは過去ありませんが、現実的に北海道では信じられない水害が起きましたので、重要であると認識しています。
――26年に広島では豪雨による土砂災害で大きな被害が出ました。急激な市域の拡大は、札幌市でもあてはまると思います。札幌市としては、危険性のあるのり面の数字を把握していますでしょうか
渡辺 札幌市内ののり面総数は605箇所です。防災点検は毎年各区で実施しています。点検の結果、対策が必要と思われるのり面が39箇所あります。今後、全体調査をして、問題点があれば補修をしていくサイクルをつくっていかなければなりません。
とくに札幌市南部の山側において注意が必要です。北海道庁さんで土砂地域の指定をしていますので、住民の安全という観点から民有ののり面をふくめて、きめ細やかな点検調査が必要である、と考えています。
――ありがとうございました
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