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インタビュー詳細

急速に進む橋梁の高齢化 「攻めの管理」が必要

川崎市 殿町羽田空港線などを整備

川崎市
建設緑政局長
藤倉 茂起 氏

674mが橋梁 多摩川渡河部は橋長600m強

 渡河部は鋼3径間連続鋼床版箱桁橋(複合ラーメン)を採用

 ――さて、主な道路事業の進捗状況を殿町羽田空港線からお願いします

 藤倉 川崎市の国道409号と、東京都の都市計画道路環状8号線を結ぶ箇所に建設する延長約870mの道路事業であり、そのうち674.55mを橋梁構造としています。橋梁形式は渡河部(P2~P5)を橋長602.55mの鋼3径間連続鋼床版箱桁橋(複合ラーメン)、川崎側取付部(A1~P2)を橋長72mの鋼2径間連続鈑桁橋としています。橋脚はRC逆T式橋台、RCT型橋脚(P1、P2)、RC壁式橋脚(P3、P4)、基礎はA1~P2を杭基礎(SC+PHC杭)、P3、P4を鋼管矢板井筒基礎としています。同事業は設計・施工一括発注方式により工事を発注していることから、今後、本市が示す標準案に対して技術提案を求め、民間企業の優れた技術力が活かされることを期待しています。


多摩川渡河橋部イメージ


右岸側は生態系保持区間

 橋脚・仮設ベントはもちろん立ち入りされも許されない

 ――これほどの長さを鋼床版箱桁形式ですか、斜張橋などの形式は難しかったのですか

 藤倉 羽田空港が間近にあるということで、高さ方向に航空法による制限があることなどから、標準案としては現在の橋梁形式を採用しました。なお、この橋梁形式で、昨年、環境影響評価の手続きを行いました。

 ――同橋梁の構造及び施工上の特徴は

 藤倉 架橋位置は多摩川河口干潟が広がっており、貴重な動植物が生息しているほか渡り鳥など鳥類も飛来しております。右岸側は、多摩川水系河川整備計画において生態系保持空間が設定されており、本橋の橋脚や仮設ベントの設置はもちろん、工事のための立ち入りもできないという厳しい条件が課せられております。また、基礎地盤も深く、ボーリング調査の結果、河川内橋脚の支持層の深さは50mを超えます。

 標準案の施工方法は、航路が設定されている左岸側と、河川中央部の2径間については台船により架設する計画です。干潟が広がっていることや羽田空港が間近にあることからFC(フローティングクレーン)船による架設は行わず、台船上にジャッキを搭載して、その上に桁を載せて現場まで運搬し、潮位変化とジャッキ操作で橋脚上に架設する計画です。また、右岸側については、川崎側取付部の橋梁の直上から桁を送り出して、桁中間部でP3側から伸びている桁に添接により閉合する計画です。桁の送り出し長は100mを超える予定です。こうした工法を採用するのは先述したように桁下に仮設ベントを設けられないためです。一方、川崎側取付部の橋梁は、トラッククレーン+ベント工法で架設する計画です。

 本工事は2020年度内の完成を目指しています。


等々力大橋 4径間連続鋼床版箱桁ケーブル補剛桁を採用

 登戸陸橋は上部工の施工が続く

 ――等々力大橋については

 藤倉 同橋は橋長約390m、幅員約32mの鋼4径間連続鋼床版箱桁橋(ケーブル補剛)です。通常の斜張橋では主塔部と橋脚は連続化していますが、この橋梁では主塔部は主桁と繋がっており、橋脚とは支承を介している構造になっています。

 主塔部の基礎には、ニューマチックケーソン形式を採用しています。完成は2025年度を予定しています。費用は半々ですが、建設は東京都が担当し、管理は当市が行う予定です。※1

 ※1 東京都及び川崎市は、2025年度の完成を目指し、等々力大橋(仮称、川崎市中原区宮内1丁目~世田谷区玉堤2丁目)の新設事業を進めていく。多摩川を渡河する橋長約390m、幅員約32mの鋼4径間連続鋼床版箱桁橋(ケーブル補剛)で、通常の斜張橋では主塔部と橋脚が連続化しているが、同橋梁では主塔部は主桁と繋がっており、橋脚とは支承を介している構造が特徴だ。また、主塔部の基礎については、ニューマチックケーソン形式を採用している。費用は50%ずつ負担しており、建設は東京都が担当、管理は川崎市が行う予定だ。

 同橋の形式選定は、「国分寺崖線(多摩川が10万年以上かけて武蔵野台地を削り取ってできたもので、豊かな自然環境が残る)という景観上に建設される条件から、その景観を損なわないよう(具体的には崖線の景観ラインを維持できるように)主塔高さを抑制する必要があり、河積阻害を最小限とするため、橋脚数を減らす必要があった。」(東京都)。そのため、斜張橋ではなく、橋脚と支承を介して分離する形式にする一方、吊形式かつ桁と主塔を剛結構造にすることで、主塔高(約20m)桁断面(2.9m程度)を抑制し、橋脚の数および規模のスリム化を図った。主塔高は20mと低いため、「通常の高所作業車でも十分近接目視できる」(東京都)。設計は大日本コンサルタント。


 ――登戸陸橋拡幅部の橋梁形式および進捗状況は

 藤倉 同橋を含む世田谷町田線(登戸工区)は都市計画幅員20m、事業延長820mで平成2年に事業認可され、工事を進めています。内容は一般部で現道を拡幅(車道:15m、歩道:2.5m×2(両側))し、上り専用橋を新設し、旧橋を下り線に専用化することで渋滞の解消や安全性の向上を図るものです。

 構造物は高架橋が435m、アプローチ部が135mの計570mであり、現在は高架橋部分310mが完成していますが、未供用状態です。主な構造形式は下部工がRC壁式橋脚、RC柱式橋脚で基礎はRC場所打ち杭を採用しています。上部工は主にPC2主版桁橋(ポストテンション方式)を用いています。


登戸陸橋部の進捗状況


大師線連立はアンダーパス化工事が進む

 ――次に京急大師線連立事業について

 藤倉 京急川崎駅~小島新田駅間延長約5kmのほぼ全線を地下化する事業です。現在はそのうち小島新田駅~東門前駅間約1.2kmについて工事を進めています。他の区間は工事未着手です。現線の直下に構築するため工事には細心の注意が必要です。


京急大師線連立事業 (左)掘削状況、(右)躯体を構築し、底盤打設が完了した状況

 ――具体的には

 藤倉 まず現在供用中の線路の直下を掘削するための土留杭を設置した上で、線路を仮受けするための工事桁を敷設します。次に土留杭を支持するための支保工を設置し、計画している深さまで掘削します。その後RC構造による本体工を構築し、現在線を計画線に切り替えます。切り替え後は上床版を構築して、その上に土を埋め戻し、完成というものです。この約1.2kmの区間については、2019年度までの完成を目指して工事を進めています。

 ――JR南武線の連立事業は

 藤倉 尻手駅~武蔵小杉駅間、約5.5kmを連続立体交差化する事業です。そのうち約4.5kmが当市、約1kmが横浜市の区域となります。