道路構造物ジャーナルNET

拡販を図るべくESCON協会を設立

第三世代の超高強度コンクリート「ESCON」

ESCON協会
会長

森元 峯夫

公開日:2017.01.01

 エスイーが開発した「ESCON」は、曲げ引張強度が普通コンクリートの7~10倍、圧縮強度150N/平方㍉もある超高強度コンクリートである。従来の超高強度コンクリートと違い、コンクリートと混練する繊維は合成繊維であるため、「点錆や腐食を起こすこともない」(森元峯夫会長)という。同社はRC(鉄筋コンクリート)、PC(プレストレストコンクリート)に次ぐ第三世代のコンクリート構造を担う材料として拡販を図るべくゼネコン各社他、PC業界やプレキャスト二次製品製造会社などを集めてESCON協会を設立し、用途の開発や設計・施工法の確立に向け、研究・議論を進めている。その内容について森元会長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

曲げ引張強度は普通コンクリートの7~10倍
 圧縮強度は150N/平方㍉に達する

 ――まずESCONの概要から教えてください
 森元会長 ESCONはPVA(ビニロン)という合成繊維をコンクリート中に混練して製造される超高強度コンクリートです。
 曲げ引張強度が普通コンクリートの7~10倍、圧縮強度150N/平方㍉に達します。硬化体が緻密であるため、塩化物イオンの侵入や中性化の心配がなく、100年以上の長寿命化によるライフサイクルコストの縮減が可能です。
 また、自己流動性を有するため、超過密配筋のRC部材や複雑な形状、薄い部材についても打設可能です。
 ESCONは合成繊維により補強されているため、腐食劣化の恐れがありません。火災時には合成繊維が溶融することで、爆裂の抑制効果が期待できます。
 特別な技術を要さないため誰でも製造できるという最大の利点を、追求していきたいと考えています。


ESCONの諸性能

30社の会員企業と設計・施工法を構築していく
 建設労働人口が大幅に減る中、100年以上の耐久性を目指す

 ――それはなぜですか
 森元 RCは約130年前にフランスで発明され、その扱いやすさから世界中に普及しました。また、約90年前には引張強度が弱いというRCの欠陥を補い、クラックが入らないコンクリートを作る目的でPCが開発されました。設計基準、プレストレス導入のための緊張ジャッキとポンプ、PC鋼材定着のためのフレシネコーンのソフト・ハードが同時に開発されたため、爆発的に普及しました。
 私はESCONをRC、PCに続く第三世代コンクリートとして、拡販を図っていきたいと考えています。
 現在、ESCON協会は30社ありますが、会員の皆様は専門のファブリケーター、ゼネコンとして、橋やトンネル、ビルなどを建設されています。そのお力を借りて応用分野を広げていきたいと考えています。そのためには一番の目的である、設計法や施工法などのソフトを構築しなければならず、既に協会内で研究を進めています。
 加えて10年後、日本の建設就労人口は240万人と実にピーク時の3分の1までに減少する見込みです。国そのものの人口も減少することが予測されており、経済成長は鈍化していかざるを得ない状況です。既設インフラは老朽化が非常に進んでいますし、一方で、新しく作るものは100年以上の耐久性を要求されます。それを実現するには新しい材料・工法・設計法・システムを作る必要があります。

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