道路構造物ジャーナルNET

2016年我が社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑪巴コーポレーション

過去20年間で最高の利益水準~来年に創業100周年記念式典~

株式会社巴コーポレーション
代表取締役社長

深沢 隆

公開日:2016.11.28

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載してきた。最後となる今回は、巴コーポレーションの深沢隆社長の記事を掲載する。   

 ――建築鉄骨、橋梁、鉄塔の現状について。
 深沢 建築鉄骨の動きは、いわば〝中弛み状態〞にあり、工場稼働状況、手持ち量に山谷があるのが現状である。五輪施設の建設には大きな関心と期待を持っているが、どのような体制で、いつスタートするか、不透明な状況にある。その動向を注意深く見守っている段階にある。
 橋梁は、当社の場合、営業注力している関東、東北地整の発注量が少なく、大苦戦中であるが、地道に技術提案力、官積精度、工事評価点アップなどに努め、保全工事を含め事業を維持できる最低線の量目確保を図っていきたい。


西郷橋上部工事、平成27年2月発注、国土交通省東北地方整備局発注、1,400㌧、11径間連続鈑桁

 鉄塔は、東京電力の大型幹線建替工事である香取線の製作に注力することになる。今後も東西連係線やリニア新幹線供給線があり、相当量の発注が見込まれる。鉄塔から起業した会社として、バッチ主体、三次元対応可能なTOPS(トモエ・オペレーション・システム)の活用による工作図・現寸工程の効率化、仮組立省力化などをアピールし、仕事量を確保していきたい。
 ――昨年度の業績は。
 深沢 15年度の売上高287.7億円、営業利益26.8億円(9.3%)となり、期初に立てた事業計画値を大きく上回ることができた。不動産事業を除く本業の建設鉄構事業においても、過去20年間で最高となる利益水準を確保できた。
 ――今年度の業績見込みと事業展開について。
 深沢 今年度も昨年度並みの業績を見込みたいところであるが、建築鉄骨の動き、市況に不安材料が残る。しかしながら、過去の反省から、無理をした量目調整に走らず、核となる重要案件を目論み通りに受注するなど、その労力を、先を見据えた準備に充てることとしたい。
 ――今年度の重点項目は。
 深沢 大原則論であるが、安全確保はもとより、『品質最優先で間違いのない製品をつくる』というメーカーの使命を何よりも重視して、対応していきたい。
 事業継続で一番重要なのは『人』に尽きると考えている。とりわけ、プロジェクト全体を把握し、先を見通して、責任を持って、業務を円滑にこなせる人材の確保、育成が不可欠である。新入社員、中途採用を含め、特に基幹要員の確保に注力したい。
 また、ポスト五輪の業界を取り巻く環境を見据え、コストダウンや生産効率の向上など、コスト競争力アップに向け、今の時期にやるべきことをしっかり行いたい。
 これらの基本対策に加えて、ここのところ滞っていた設備投資を積極的に行いたい。また、富士通と共同で進めている独自の空間構造・特殊鉄骨のCAD・CAMシステムの機能拡張、BIMとのリンクに注力したい。
 『技術立社』の原点に立ち返り、技術開発の強化により、付加価値付けを推進したい。併せて、鉄構に関するエンジニアリング力の強化を図り、単なるファブリケーターの枠からの脱却を目指したい。
 さらには、新規に事業開発を検討模索するセクションを設け、新たな事業の展開を図りたい。
 ――本社移転も。
 深沢 本社周辺一帯の、勝どき東地区再開発が始動、超高層ビル3棟の建設が予定されており、来年2月に本社移転を考えている。
 来年は当社創業100周年を迎える。記念式典・披露宴の開催、記念誌の発行、主幹を成す小山工場管理棟の建て替えを検討・準備中である。
 ――今年度の事業活動に向けた抱負は。
 深沢 繰り返しになるが、第一関門の創業100周年、第二関門の東京五輪に向けた体制整備を円滑に進めたい。また、第三関門のポスト五輪を見据えた、生産性の向上、コスト競争力アップ、体制若返りへ計画的に取り組みたい。(聞き手・大熊稔、文中・敬称略)

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